米軍ヘリからまた落下物…解決策は?
13日、沖縄のアメリカ軍普天間基地に隣接する小学校のグラウンドに、アメリカ軍のヘリコプターから窓のような部品が落下し、児童1人がケガをした。再発防止を求めていた事故が、また、起きてしまった。
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■小学校で年に一度の訓練も
今回、部品が落下した普天間第二小学校は、アメリカ軍普天間基地のすぐ隣で、フェンス1枚を隔てただけの場所にある。滑走路が近いので、この辺り一帯は米軍機が離着陸するのに低く飛ぶところだ。
13日午前10時10分頃、体育の授業中に児童がいるグラウンドに部品が落ちてきたということだが、実はこの小学校、あまりに基地に近いので、年に一度、アメリカ軍の航空機が墜落することを想定した訓練をしている。常日頃から危機感を持っているということだが、こうした訓練が続けられている背景には、2004年に同じく普天間基地に隣接する沖縄国際大学にアメリカ軍のヘリが墜落したことがあるからだ。
激しく炎上した事故だったが、この時に墜落した機体も13日に部品が落下したのと同じ、CH-53だった。犠牲者こそ出なかったものの、大学の構内に墜落するという事態に、周辺住民は強い危機感を抱いた。
■今回落ちた窓とは?
部品は大型ヘリCH-53から落下したが、このCH-53という機体は輸送用の大型ヘリコプター訓練でひんぱんに飛行する機体の一つだ。窓が窓枠ごと落ちたが、大きさは約90センチ四方で、実際の写真では落下した衝撃なのか、破片が散乱しているのも分かる。窓枠の下側に黄色いハンドルがあるが、中から開けられるようになっている。操縦席のすぐ横にこの窓があり、開け閉めができるようになっていて、緊急時にはパイロットらの脱出口にもなっており、完全に固定されている普通の窓とは違う。この大きさの部品がもし人に直撃していたらと思うとぞっとする。男子児童のケガは軽いということだが、一歩間違えれば大惨事となっていた。
■先週も保育園にヘリ部品が見つかったばかり
先週7日にも普天間基地の周辺では緑ヶ丘保育園でアメリカ軍のものとみられるヘリの部品が見つかり問題になったばかりだ。その時見つかった部品は直径約7センチ、高さ約20センチのビンのようなものだった。「US」などと書かれているが、アメリカ軍は、これはCH-53の部品だと認めたものの、アメリカ軍のヘリが落としたものとは確認できない、と主張している。これに対し、沖縄県は、アメリカ軍のヘリから落下したものとみていて、まさに、住民の不信感が高まっていた矢先の出来事だった。
■「世界で一番危険な基地」の移転問題
普天間基地は市街地の中にあり、「世界で一番危険な基地」と言われ、13日の事故でもあらためて危険度の高さ、問題の深刻さを思い知った。
体育の授業中に空から大きな窓が落ちてきて、子供たちはさぞ怖かったことと思う。この危険を除去するために普天間基地を別の場所に移転することが課題となっているのだが、人口が比較的少ない名護市辺野古沖にしたい国と、同じ県内ではなく、県外への移転を求める沖縄県が対立したままとなり、どう解決するのか難しい問題になっている。