密着!夜間保育園…保育士が奮闘、課題は?

育児と仕事の両立のニーズに応える、新たな形の保育園が登場している。深夜0時まで預けることができる認可の夜間保育園に密着した。そこから見えてきた課題とは…?
【コンビニ保育園】
東京・大田区のコンビニエンスストア「セブン-イレブン大田区池上8丁目店」の上に、保育園がある。実はここ、セブン-イレブン・ジャパンが従業員などのために今年10月に開園した、認可外の保育園。
保育園の下にある店舗で働く関陽美さんは、1歳と3歳の娘を預けている。
関陽美さん「もし(子どもを)預けられる所なかったら今も働けてない状況なので、(保育園は)すごくありがたいです」
関さんが働いている頃、長女の愛夏ちゃんは、上の階でおままごとに夢中。そして、午後4時すぎ、コンビニ勤務を終えた関さんがお迎えに。
関陽美さん「2人連れて送り迎えってなると、(職場から)ほんと一番近くは、一番、助かってます」
地域の子どもも受け入れていて、待機児童の受け皿としても期待されている。
セブン&アイ・ホールディングス広報 小野真義さん「もっと積極的に働きやすい、働こうという意欲を引き出せるような、そういう取り組みとして、この保育が進んでいけばと考えている」
【夜間保育所】
働く親にとって心強い保育園は他にも。千葉県・松戸市にすむ本房さおりさんと2歳の長男・幸星くんは午前8時すぎ、お父さんよりひとあし先に家を出て、保育園へ。
幸星くんが通っている「さわらびドリーム保育園」は、千葉県内で唯一の“認可夜間保育所”。この園では、平日の午前7時から深夜0時まで、44人の子どもを預かっている(※土曜日は午後10時まで)。
夜間保育を行わない園も併設されていて、日中は2つの園の子どもたちが一緒に過ごす。
変化があらわれるのは、午後5時頃。昼間の保育の子どもたちが帰っていく一方で、夜間保育では、お風呂も。一度に4人も入浴させる先生、1人では大変そうだが「協力しながらやっているので」と…。
すっかり暗くなった午後7時前には、幸星くん、この日園で2度目の食事。0歳児から5歳児までが同じ部屋で食べるため、先生6人がかりで対応する。
午後8時すぎに消灯。毎日10人ほどが保護者が迎えにくるまでここで眠る。子どもたちが寝たあとも、先生たちは、5分ごとに1人ひとりの呼吸を確かめ、記録する。
そして、午後10時。幸星くんの母・本房さおりさんが迎えにやってきた。
整骨院でフルタイムで働く本房さんは、認可の夜間保育所だからこそ安心して子どもを預けられるという。
本房さおりさん「どうしても(仕事の)時間が終わるのが(午後)8時すぎだったので、普通の保育園だとちょっと無理だった」
幸星くんにも変化が生まれた。
本房さおりさん「夜も何時くらいになるとだいたい眠くなるっていうのが、生活のリズムができてきたのがよかったかなと思いますね」
松戸市では、夜間保育の料金は基本的に昼間の保育と変わらない(※午前11時~午後10時を超えると追加料金)。こうした夜間保育所の存在もあり、松戸市は2年連続で待機児童ゼロを達成している。
◇
一方で課題もある。全国に約2万3500か所ある認可保育所のうち、夜間保育を行っているのはわずか81か所と、普及が進んでいないのだ。
さわらびドリーム保育園 三浦理恵園長「夜(の保育を)やるっていうことへの抵抗は、まだまだ多いのかなと思いますけれど、夜間保育があればそれを利用して、本当に必要とする人もいる」
保育所をめぐっては、今月8日、政府が3歳から5歳の保育料を無償化すると発表した。しかし、依然として待機児童問題は深刻なままで、多様化する働き方に応える保育が求められている。