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マグロ1匹に大奮発!“初競り”ウラ事情

2018年1月5日 18:23
マグロ1匹に大奮発!“初競り”ウラ事情

5日は新春恒例マグロの初競りが行われたが、今年は異例の展開となった。

最高値で競り落とされたクロマグロの重さは405キロ、長さは2.6メートルで、例年の倍近い大きさ。このマグロから1万3000貫ものすしが握れるそうだが――。

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今年は、競り落とした都内の仲卸業者から銀座のすし店「おのでら」に卸されることになった。

「おのでら」は海外4か国にも店をかまえているが、海外の人にも日本一のマグロを新年に食べてほしいということで、このマグロを使ったすしはニューヨークやロサンゼルスの店でも振る舞われる。

毎年初競りでマグロを競り落としているのは「すしざんまい」だが、今年は違った。

「すしざんまい」は2012年から去年まで6年連続マグロの初競りを制していて、特に2013年は史上最高値1億5540万円で競り落としていた。だが今年「すしざんまい」の木村清社長は別のマグロを競り落とし、そのマグロについて次のように話している。

木村社長「最高にいいマグロ」「1キロあたりでは最高値」「身の質はこっちの方がいい」

「おのでら」に卸された最高値のマグロは405キロで3645万円、キロあたりでみると9万円。これに対し「すしざんまい」が競り落としたマグロは半分ほどの大きさの190キロで3040万円。キロあたりなんと16万円になる。

つまり木村社長の言い分は、このマグロはこの日一番の高級品で量より質を取った、ということになる。

■なぜこんなに高い値段がつくのか?

市場関係者によると、マグロの卸売価格はキロあたり約3000円が相場。1キロ16万円と通常の50倍以上の価格になるのは、新しい年の始まりという“特別な競り”だから、この一年の商売繁盛も願って気前よくいこうということ。一言でいえば「ご祝儀相場」だ。

■高い値段を出して元は取れるか?

銀座のある高級すし店社長は「原価は度外視」「お金はかかっても縁起物」と話していた。つまり、どの店も赤字覚悟でやっている。立派なマグロが高値で落札されていく初競りは新年の風物詩となっているから、ここでガツンと奮発して話題になれば、宣伝効果も見込める。

■実際、いくらで食べられる?

「おのでら」では2万5000円からの『逸品料理と旬のおまかせ握り』というコースで提供される。また、「すしざんまい」は通常メニューと変わらず大トロ一貫398円、中トロ一貫298円で提供するという。

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この冬の厳しい季節に漁師が釣ってくるマグロ。そういった意味でも、ありがたくいただきたい。