意外な場所に外国人観光客!人気のヒミツは
日本に来る外国人観光客が増え続ける中、今、有名な観光スポットだけでなく「意外な場所」を訪れる旅行者が増えている。九州の「意外な場所」は、アジアのある国でとても人気になっている。外国人観光客をひきつける理由と、人気を絶やさぬ工夫を取材した。
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佐賀県の中心部から車を走らせること1時間。創建から300年以上、由緒ある祐徳稲荷神社に、今、多くの外国人旅行者が押し寄せている。中でも特に目立つのが、タイからの旅行者。多い時は1日200人も訪れるほどだという。
パンフレットはもちろん。お手水の作法や両替機の説明もタイ語。絵馬もタイ語で書かれたものが目立つ。さらに、おみくじにもタイ語があった。
なぜ佐賀県の神社にここまでタイ人が押し寄せているのか。そのきっかけのひとつが、2015年にインターネットで配信されタイで人気となったドラマ『STAY Saga~わたしが恋した佐賀~』だ。タイ人の主人公がこの神社で結婚式を行ったことから、ファンにとっては“聖地”となっている。
この人気を絶やさぬべく、努力も。権宮司の鍋島朝寿さんは、3年前からタイ語の勉強を始め、今では案内ができるほどタイ語が上達した。
祐徳稲荷神社 鍋島朝寿さん「神社はタイの方々、外国の方には未知の世界。一過性になることを避けるため、いろいろな努力をしましたね」
この思わぬタイフィーバーは、神社だけにとどまらない。唐津市の“呼子の朝市”など、ドラマにゆかりのあるロケ地を巡るコースを県の観光連盟がPR。5年前にはわずか370人しかいなかったタイからの観光客が、ドラマの放送があった2015年には4590人と10倍以上に。その後も順調に客足を伸ばし、47都道府県魅力度ランキング(ブランド総合研究所)で2017年は45位と下位の常連・佐賀県にとっては、大きな追い風となっている。
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一方、都内の意外な場所にも外国人が押し寄せている。日暮里駅周辺にある約90軒の生地・資材店が集まる繊維街だ。外国人旅行者にとってこの街が魅力的なワケは、自国では高価な生地がリーズナブルに購入できること。さらに、日本製の種類の豊富さ、品質の良さが良いという声も。
一方、かごいっぱいに生地を購入する人がいるのは、“ロンジー”という民族衣装の生地を販売するお店。6年前にこの生地の取り扱いを始めたところ、ミャンマー人のお客さんが急増したという。中には、おみやげで渡すために現地とビデオ通話する人も。
数年前にはほとんどいなかった外国人旅行者が、今では2割ほどを占めるという、この繊維街。ここまで増えたのには、大きなワケがあった。
東京日暮里繊維卸協同組合 浜浦章雄理事長「成田からスカイライナーで36分という早さが日暮里」
2010年に「成田スカイアクセス」が開業し、成田空港から日暮里へのアクセスがより便利に。
東京日暮里繊維卸協同組合 浜浦章雄理事長「今まで興味がなかった方たちにも、より活発になると思う」
多様化する外国人の旅行の価値観が、街の活性化にもつながっている。