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東京五輪 暑さ対策にサマータイム?問題も

2018年8月10日 18:52
東京五輪 暑さ対策にサマータイム?問題も

2年後のオリンピックの暑さ対策として、この「サマータイム」を導入するのかどうか、安倍首相は自民党内で議論するよう指示した。サマータイムが導入されれば、私たちの生活はどのように変わるのか、独自でサマータイムを行っている会社を取材した。

今週、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森会長は、2020年に向け暑さ対策の一環で“サマータイムの実施”を安倍首相に提案。夏の標準時間を早めるサマータイム。例えば2時間早まった場合、午前7時に起きている人は午前5時に起きることになる。

■「サマータイム」ネットの声
「やる必要ある?」
「残業が増えるんじゃ」
「子どもたちの生活リズムが乱れそう」

もし、サマータイムが採用されると、私たちの日常生活にはどんな影響があるのだろうか?

 ◇◇◇

世界の約70か国で実施されているサマータイム。実は、日本でもすでに採用している会社がある。東京・中央区の商社「芝本産業」では、節電対策のため、7年前から独自のサマータイムを実施。勤務時間を午前8時~午後4時20分までと1時間繰り上げている。

営業職・社員「(Q残業の量は?)圧倒的に減ったと思います。夕方だらだらやるよりは朝の方が仕事の処理能力が上がるのかなって」

サマータイム期間の残業は通常よりも3割削減出来たという。

営業職・社員「家族と向き合う時間が増えたかなというのはあります」

一方で、こんな声も。

事業開発部・社員「自分、朝にそこまで強いわけでないので、そこが少しキツいポイントではあります」

子供が4人いる社員「保育園が朝早くから開いていないので、(子供を)預けられないデメリットがある」

世間との生活時間がずれ、問題も起こっている。

実は、日本でも一度だけサマータイムが導入されたことがある。

サマータイムは1948年、アメリカを中心としたGHQの指示でスタート。繰り上げた1時間で、国民は朝早くからスポーツや草むしりなどに時間を費やしたそうだ。しかし、「生活スタイルを変えたくない」などの声があがり、わずか4年で廃止となった。

 ◇◇◇

一方、サマータイムが定着している欧米。約100年の歴史があるアメリカではどのようになっているのか。

午後7時にもかかわらず、辺りはまるで昼間のよう。

男性「夏の時間が延びれば遊びの時間が増えるよ。長時間労働につながるなんてことは絶対ないね」

女性「体も1~2週間で慣れるわ」

帰宅時間も外が明るいため「安全だ」と歓迎する声もあるが、ハーバード大などの調査によると、冷房など電力の使用量が増えマイナス効果だとする試算もある。

 ◇◇◇

一方で、サマータイムが生活の一部になっているヨーロッパは、ここにきてその廃止論が活発化している。

フランス北部のオワズ県では街のシンボル、時計台の時刻の切り替え作業が毎年3月と10月の2回行われている。

時刻の変更作業を担当、ジェロンム・ルジョンドルさん「1年に2回、時間が切り替わるのはもうやめてほしい」

フランスには、いまだ時刻の自動切り替えをしていない古い時計がいくつも存在する。また、今年3月には、国鉄の運転士がサマータイムのダイヤの切り替えを忘れ、始発電車が1時間遅れるというトラブルもあった。

ドイツでは有力な地方紙が行ったアンケートで、8割以上の人が「サマータイムによる時間の変更に反対」と回答。

また、ロシアでは1981年に導入したものの、生活のリズムが崩れるとし、7年前に廃止されている。サマータイムは、賛否両論の声が上がっている。