「就業先は農家です」若者に支持される理由
世の中で議論を呼んでいる話題について、意見を聞く「opinions」。今回の話題は「農業就業人口減も 若年層の新規就農底堅く」。
日本の2017年の農業就業人口は181万6000人と、2010年と約30%減少している。一方で、新たに農業についた人は1年で5万5670人、うち49歳以下は2万760人と、4年連続で2万人を超え、若年層の新規就農の底堅さがうかがえる。宮治勇輔氏に聞いた。
――こうしたデータが出ていますが、どう思われますか。
やっぱり昔に比べて、若年層の就農数が増えてきているんです。10年前に比べて、農業を取り巻く環境もずいぶん変わったなと思っていて、就職先としての農業…割とみんな当たり前のように、会社に勤める選択肢として農業を選んでいる人が増えていて、堅調な数字に表れていると感じます。
――今までは就職先としてではなかったということですか。
やっぱり実家が農業だから農業をやるというのが一般的だったのが、各地域に、割と規模を拡大した農業法人が台頭してきて、そこに就職をするかたちで、農業を仕事にする人が増えてきているんですね。
――体制も整ってきたという部分もあるということなんでしょうか。
そうですね、やっぱり経営力がついてきて、きちんと従業員に給与が支払えるというかたちになってきて、採用も意欲的にやる法人が増えてきていますね。
――改めてこの話題に対してのフリップをお願いします。
『就職先は農家です』…今までこういう考えを持っている人は、ほとんどいなかったと思います。私も全国まわって農業大学校でも話をするんですが、いま、農業大学校の卒業生の半数が農業法人に就職するということを聞いてます。
――それはどうしてなのでしょう。
各地域に大きな農業法人ができて、就職先として選べるようになってきたと。自分がいきなり新規就農者として入るのではなくて、就職できるようになったというのが、その裾野が広がってきたことかなと感じます。
――そういった中で、宮治さんのところに就職する若者というのも出てきそうですか。
うちの父親もいい年齢なので、来年には新卒を採用して鍛えていきたいなと思っていますね。
――若者に感じる可能性はどうでしょう。
非常に技術力の高い若者もいて、若いからといって通用しないわけではなく、即戦力として見ていますね。生産からお客さんの口に届けるところまでを見える農業ということで、いわゆる農作業だけではなくて、幅広く経営からマーケティングから営業まで学べる場としても、農業がいい仕事になってきているんじゃないかなと感じますね。
――特にSNSなどが多く使われるようになって、よりお客さんとの距離が近くなったというのもあるでしょうか。
そうですね、顧客との距離は確実に近くなってますね。
――農業というのは永遠に必要なものですから、若者にぜひがんばっていただきたいですね。
これからも国産のおいしい食材を我々が提供していきたいなと思っています。
■宮治勇輔氏(40)プロフィル
一次産業を「かっこよく」「感動があって」「稼げる」新3Kにするため、農業改革に取り組む。一般企業に勤めた後、湘南で家業の養豚を継ぎ、生産から顧客の口に届くまで一貫してプロデュースした「みやじ豚」をブランド化した。
【the SOCIAL opinionsより】