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【解説】能登半島地震から半年 いまだ地震活動活発、最新の状況は?地震の原因は"流体"?

2024年7月1日 21:55
【解説】能登半島地震から半年 いまだ地震活動活発、最新の状況は?地震の原因は"流体"?
元日におきた能登半島の地震から半年。最新の地震のデータをみると、能登半島ではいまだ地震活動が活発な状態が続いていることが分かります。3年以上続く群発地震活動、火山のない能登半島でなぜ続いているのか。最新の研究結果は? 社会部災害担当・藤吉有咲記者が解説します。【週刊地震ニュース

■6月末、国内の地震は29回

6月24日~30日、国内で震度1以上の地震は29回ありました。このうち震度3以上の地震は3回ありました。

▼27日午後6時45分ごろ、福島県双葉町、大熊町、浪江町で震度3の地震がありました。震源は福島県沖で地震の規模を示すマグニチュードは4.5、震源の深さは50キロでした。

▼28日午前4時27分ごろ、鹿児島県与論町で震度3の地震がありました。震源は沖縄本島近海、マグニチュードは4.9、震源の深さは30キロでした。

▼30日午後7時38分ごろ、宮崎県川南町で震度3の地震がありました。震源は日向灘でマグニチュードは4.1、震源の深さは20キロでした。(速報値)

■能登半島の状況、最新データは

甚大な被害となった元日の能登半島地震から半年です。能登半島周辺では地震の回数は減っているものの、いまだに地震活動が活発な状態が続いています。

今年1月1日~6月30日までに、能登半島とその周辺では震度1以上の地震が1880回ありました。図中の灰色の丸は1月~5月に、赤色は6月におきた地震です。元日に発生したマグニチュード7.6の地震は、東西150km、東京駅から静岡駅ほどにわたる活断層がずれ動いておきた地震でしたが、半年が経過しても、いまだ広い範囲で地震が起きていることが分かります。

一方、地震の回数は1月以降、減少しています。1月の地震回数は1558回、2月は144回、6月は35回でした。しかし6月3日には最大震度5強の地震も発生しています。能登半島では2020年12月ごろから3年以上、地震活動が活発な状態が続いています。こうした状況は、当面の間は続くとみられています。

■地震から半年、新しく分かったこととは?

こうした群発地震活動、その多くは火山の近くで発生するケースです。火山が近くにない能登半島でなぜ、こうした地震が続いているのでしょうか?地下深くでおきていることなので、根本的なメカニズムはいまだ解明されていませんが、地下にある"流体"が関係しているのではと、多くの専門家が指摘しています。この"流体"というのはマグマなどではなく、プレートからしみ出した水のようなものと考えられています。日本列島の下に沈み込んでいるプレートから出てきた水の流体が、地表に向かって上昇。この流体が断層を滑りやすくして、地震を誘発した可能性があるというのです。これは雨の日に、スリップしやすくなるようなイメージです。そして、能登半島の地下には複数の断層があると考えられていますが、その隙間に入り込んで流体が"移動”した可能性があるといわれています。

能登半島の群発地震の震源をみてみます。当初、地震は珠洲市のあたりで発生しました。その後西側で活動が活発となり、2021年半ば頃から北側に地震の震源が広がりました。このように震源が場所を変えて移動する状況は、流体による地震によくみられる現象だそうです。

能登半島地震では、海底にある複数の活断層が連動して発生したとみられています。その活断層の調査も進められています。海上保安庁が6月に公表した、測量船による海底地形調査の結果では、珠洲市の北側の海底で最大4メートルの隆起を確認したということです。4メートルというのは、過去の地震の例をみても、かなり規模の大きな隆起です。海上保安庁によりますと、今回の調査で隆起が確認された場所は、これまでに分かっている海底活断層の位置とおおむね一致しているということです。

■"流体”による地震、ほかの場所でおきる可能性は?

能登半島のように"流体"が関係した可能性のある地震は、ほかにあるのでしょうか。

少しメカニズムは異なりますが、例えば長野県の松代でも、1965年から70年にかけて5年以上地震活動が続きました。体に感じない地震も入れると、その地震の数はおよそ70万回。ほかに類をみない群発地震となりました。このときも、地下から上昇してきた水が影響したのではないかといわれています。松代の群発地震では、地震活動の末期に、地下から水が噴き出したことで農作物などにも被害が出ました。

それでは、"流体"が関係するような地震は、ほかの場所でも発生する可能性があるのか。

地震の専門家で、環境防災総合政策研究機構の草野富二雄さんは、能登半島で大量の流体がたまっていた場合、それは「プレートの沈み込んだ深さ、圧力などが関係しているのだろう」としています。

その上で、同じような地震がおこるのは、「ある程度の深さまでプレートが沈み込んだところとなるので、太平洋沿岸ではなく、内陸から日本海側になるのでは」と話しています。ただ、いまのところほかに危ないといわれているような地域はないようです。

■地震が多いなか・・・注意することとは?

能登半島の地震では自宅が壊れた方も多くいました。いまも2288人(6月25日時点)が避難生活を送っています。地震が頻発していることで、建物などが脆くなっていることに加え、これからは梅雨末期の大雨が続くことも予想されます。できる限り、安全な場所で過ごすことが重要となります。

能登半島に限らず、日本は全国いつどこで地震がおこるか分かりません。日頃の備えに加えて、大きな地震にあったときにどのように行動するか、シミュレーションしておくことが重要です。

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