女性にもAEDを…服を脱がすことに戸惑い
発作や不慮の事故で、心臓が止まった人に対して使用するAED。先月、京都大学などは、AEDに関するある調査結果を発表しました。それは、男性よりも女性に対してAEDを使う割合が「30%も低い」ということです。この男女差はなぜ生じているのでしょうか。あるべき対処法を取材しました。
今月16日、都内のマンションで行われていたのは、住民向けのAEDなどの講習会。
東京消防庁 池袋消防署 警防課 救急係 消防司令補・渡部寛明さん「衣服をはだいてパッドを装着してくださいということで指導しています」
講習会でまず教えられるのは、衣服の前側を全部脱がしてからAEDのパッドを貼り付けるということ。しかし…
講習会に参加していた男性「抵抗ありますね。女性の服をはだけるのは…」
講習会に参加していた女性「命優先だけれども、ちょっとやっぱり公衆の面前に(胸を)さらしてほしくないっていうのが本音ですよね」
素速く救命措置をとりたいところですが、服を脱がすことに戸惑いがあって、女性へのAEDの使用率が低くなってしまっているのです。
そこで、倒れた人が女性だった場合の正しい対処法を、救急医療のスペシャリストである本間洋輔先生に教えてもらいました。
本間先生「全部、完全に脱がせる必要は絶対的にはないです。AEDのパッド自体は素肌に貼ればいいので、めくって貼るとか、貼った後に服をかぶせるとか」
服を着ていても電流を流す妨げにならないため、上着や毛布などをかけても大丈夫なんだそうです。パッドの基本的な貼り方は、右は鎖骨の下、左は脇腹の辺りと教わりますが、実は、心臓を挟んで対角線状に貼れば問題ないといいます。ということで、服を脱がさずにパッドを貼ってみることに…
本間先生「服を脱がせられない女性の場合は、手を奥に入れて貼ってもらえればいいかと思います。下着とかも、めくって素肌にしっかり貼るようなかたちで…」
もう片方のパッドも、衣服をめくって左の脇腹の辺りに貼るだけ。多少手間どるものの、これなら脱がさなくてもいい感じです。続いては、女性がよく身につけるアクセサリー。先ほどの講習会でも…
講習会に参加した女性「ネックレスをしていると、やけどとかって?」
渡部さん「ネックレスに関しましては、なるべく取り除いた方がいい」
パッドとパッドの間を中心に電流が流れるため、そこに金属があると、やけどする可能性がありますが、痕に残らず数日で治る程度なので、横にずらせばいいんだそうです。
ところで、SNS上ではこんな意見も…
「下手すると痴漢呼ばわりされないか心配」
セクハラや痴漢で訴えられたりしないのかという不安。法律の専門家に聞くと…
よつば総合法律事務所・小林義和弁護士「強制わいせつ罪に該当するかどうかは、性的意図のもとに行われるという事が必要でして、AEDを使用する状況は、目的は救命ですので性的意図というのは認定されない」
実際に、過去にセクハラや痴漢で訴えられた事例はないそうです。心臓マッサージと組み合わせて使えば、助かる可能性は4倍になるといわれるAED。女性にも臆せずに使えるようにしておきたいものです。
また1人で組み立てられる「救命テント」が設置されている場所もあるので、日頃から確認してみてはいかがでしょうか。