宇宙飛行士・古川聡さんらの医学研究でデータ“ねつ造” “改ざん”や“計算ミス”も… 「業務が多忙」で?
現役の宇宙飛行士である古川聡さんらのグループが行った医学研究で、研究データの“ねつ造”や“改ざん”があったことが明らかになりました。
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25日午後2時すぎ、JAXA(=宇宙航空研究開発機構)が緊急の会見を開きました。
JAXA 有人宇宙技術部門長・佐々木宏氏
「関係者の皆様に対して、ここで深くおわび致したいと思います。すみませんでした」
発表したのは、研究データの“ねつ造”や“改ざん”ともとれる内容でした。その研究の実施責任者を務めていたのが、2011年に宇宙へ行った古川聡飛行士だったのです。
古川聡宇宙飛行士(2020年)
「若い飛行士にも伝えて、チームをつくっていけたらと。新しいことをたくさん学んで、自分としては、心は30代のつもりで挑戦したい」
古川飛行士は、2023年にISS(=国際宇宙ステーション)に長期滞在し、2回目の宇宙滞在となる予定でした。その古川飛行士が実施責任者を務める研究で、今回の騒動が起きました。
JAXA 有人宇宙技術部門長・佐々木宏氏
「研究者一般、または社会の感覚からすると、ねつ造というべき行為ではないかというふうに我々は判断しました」
古川飛行士のチームが行ったのは、ストレスの蓄積に関する研究です。宇宙環境に見立てた狭い空間に、長期間にわたり大人8人を住まわせるというものです。
研究データの中には、対象者8人を個別に3人の研究者が面談し、精神心理状態を評価した内容が含まれていました。しかし、実際に面談したのは、研究者3人ではなく2人だったといいます。つまり、“ねつ造”が行われていたというのです。
他にも、研究データを鉛筆で記入し書き換えが行われたり、集計作業での計算ミスなど、多くの問題点があったといいます。
なぜ、研究の“ねつ造”が行われたのでしょうか。
JAXA 有人宇宙技術部門長・佐々木宏氏
「動機に関してはヒアリングした結果、我々としては判断つかないので差し控えますが、基本的には非常に業務が多忙で進めていたというのは我々認識していますし、(ねつ造した)本人もそう言っています。我々として反省すべきところは、研究チームは非常に少なくて、かなり仕事が忙しかったんだろうと」
そして、来年に宇宙に行く予定の古川飛行士の処分について、今後、適切に対応するとしたものの、来年の宇宙滞在の予定に変更はないとしました。
JAXA 有人宇宙技術部門長・佐々木宏氏
「実施責任者としての管理・監督責任があるというところで、責任があると考えています。今回の研究責任者の資質と宇宙飛行士の資質は異なると思っていますので、今のところは(来年の予定変更は)考えていません」
JAXAによると、古川飛行士は「指導が足りなかった」と反省しているということです。