×

どうなる年金 直面する老後の“貧困危機”

2019年8月29日 1:54
どうなる年金 直面する老後の“貧困危機”

年金財政検証のモデル世帯は、会社員の夫と専業主婦だが、独身の人や離婚した人、正社員以外も増える中、特に女性が直面する老後の貧困危機について取材した。

     ◇

シングルマザーの女性(55)のもとに届いた「ねんきん定期便」。

シングルマザーの女性「65歳以上で年額67万5000円…。(月々)5万円台ですね」

将来受け取れる年金額は、国民年金と厚生年金をあわせても月々6万円足らず。それには、ワケが─。

シングルマザーの女性「養育費は、うちはもらえてないですね」

女性は、娘が3歳のときに離婚。元夫からの養育費もない中、パートや非正規社員などで日々の生活をつないできた。

収入が少なく、保険料の支払いを免除してもらっていた期間などもあり、もらえる年金額は通常よりも少ない。

シングルマザーの女性「もう(年金では)全然生活できないですよね」

老後、年金だけでは、とても生活できない現実。今の手取りは20万円ほどで、住宅費や食費、20代の娘の奨学金の返済などで、貯蓄する余裕もほとんどないという。

シングルマザーの女性「老後のことまで考えずに、その日その日をめいっぱい生きている感じなので、そういう人たちこそ、老後のことを考えて安心できるような社会になってほしい」

実は、高齢の「シングルマザー」や「独身」の女性のおよそ30%が、今、生活保護の対象になりうるほどの低収入だという。この分析を発表した年金問題に詳しい稲垣教授によると、その割合は今後急増し、今の30代が年金をうけとる30年後には、およそ45%、数にして250万人以上になるという。

今の制度のままで、年金が老後の支えになるのか。政府は、より多くのパート労働者が、働いている企業の年金に入れるよう制度を改正し、パート女性らが将来受け取る年金額を少しでも増やしたい考えだが、中小企業は納めるべき保険料が増えるためこれに反対していて、どう説得するかが課題となっている。