SDGs「荒れる山林 どう守る?」
世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「荒れる山林 どう守る?」。雑誌「Discover Japan」の編集長、高橋俊宏氏に話を聞いた。
今回取り上げている、SDGs15番「陸の豊かさを守る」という目標にとっては、国土の7割を占める山林をどう守っていくかは大切なテーマだ。
国土交通省が土地の所有者について調べところ、山林については調査件数の3割に迫る28.2%が登記簿上では所有者を確認できない状況となっている。
相続されず、荒れ果てた山林が、各地で問題となっている中、政府は2024年度から森林環境税を導入し、1人あたり年間1000円を住民税に併せて徴収し、山林の保全にあてる事としている。
――政府は新たな税を設けて森林整備の財源にすることを考えているようですが、高橋さんはどういうご意見をおもちですか。
「書をすてよ、森で遊ぼう」です。
国とか民間でどう守るのかということですが、守る前に森とか山にもっとふれあう機会が必要だと思います。
私は岡山の田舎で育っていて、山で遊んだり、秘密基地をつくったり、野山を駆けまわっていたわけです。そうすると自然の美しさなどに気づいて、守らなきゃという気持ちになると思います。
いまアウトドアブームでして、山に登る人がいたり、キャンプで自然を楽しむ人がいたりと、いい流れがあると思います。まずは自然とふれあうことが必要かなと思います。
あと、もうひとつはSDGsというのがありますけど、この考え方は日本から見ると実は結構、古いと思うんです。日本は300年前からやっていました。
なぜかというと江戸時代とか共通の山林があって、入会地というふうに設けて、そこで下草を刈って、それを田んぼの肥料としていました。
あとは枝打ちをしたり、間伐材を切ったり、森を育てるためにそういうことをやっていました。そうやって切った枝などを、薪(まき)にして、暮らしのなかで使っていました。つまり、日本はそういう全部が循環するようなことを江戸時代からやっていたのです。
いまSDGsが注目されていますが、日本は先進国なんですよね。だからかつて日本の先人たちがやっていたことにヒントがあると思います。
――ですから、いま山を守っている人の話を聞きにいったりすると、そこに今やるべきヒントがあるかもしれないと。
あと、いま環境省がグッドライフアワードというものをつくっておりまして、社会や環境に対して個人とか民間とか団体が取り組んでいることを表彰する制度があり、私はその審査員をやっています。
9月17日が締め切りで、ご応募いただくと環境について頑張っている方に環境大臣賞が複数用意されています。それをとることによって自然の取り組みが世の中に広まるというか、とても素晴らしいアワードが準備されていますので、チェックしていただきたいです。
【the SOCIAL opinionsより】