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多摩川が氾濫 バックウオーター現象とは?

2019年10月15日 19:35
多摩川が氾濫 バックウオーター現象とは?

通勤や通学客で大行列ができた駅。台風19号の浸水被害の影響で、入場制限による混雑が起きた。都市部にも及んだ浸水の被害。そして氾濫した多摩川では、「バックウオーター」と呼ばれる現象が起きたとみられている。その危険性とは?

15日、神奈川県川崎市にある武蔵小杉駅では、長い列ができていた。列に並ぶ人たちへ駅員が状況を説明している。台風19号の影響で武蔵小杉駅は、改札のほとんどが茶色の泥水につかるなどし浸水。連休明けの15日、エスカレーターが復旧せず、入場制限を行うなどしたため、長い列ができていた。

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東京と神奈川の間を流れる大動脈、多摩川。武蔵小杉駅を含め、東京・二子玉川駅周辺から神奈川・川崎市にかけて、深刻な浸水被害をもたらした。いったいなぜ、こうした浸水被害が発生したのだろうか。

多摩川とその支流・平瀬川の合流地点を、水害や防災の専門家、松尾一郎教授と訪ねると…。

東京大学大学院、松尾一郎客員教授「(多摩川から水と)一緒に流された、こういう草木が欄干に引っかかっている。(多摩川の)水位はこれ以上きたということ。(支流の)平瀬川から水をはこうとしてもはけない。どんどん支流の方が水位が上がっていく、これがバックウオーター」

通常は、多摩川に流れ込む支流の平瀬川。しかし、多摩川の水位が上がったため、平瀬川の水が流れ込めず逆流する、「バックウオーター現象」が発生。平瀬川が氾濫し、浸水したとみられている。さらに、平瀬川沿いにいってみると…。

松尾一郎客員教授「堤防からあふれた水がどんどん低いところに流れていく、流れ方としてはこちら低くなっているのがわかる」「(Qなだらかな斜面になってますね)あふれた水が全部こちら側に集まった状況になったと思う」

土地の地盤が低いことも、浸水の要因と考えられるという。この浸水により、60代の男性がマンションの一階で、心肺停止の状態で発見され、死亡が確認された。15日、川沿いの一帯には、浸水して使用できなくなったとみられる畳や家具、電化製品が。住民たちが清掃作業に追われていた。

松尾一郎客員教授「本流が決壊・氾濫すると大きな被害。それは結構着目されるが、支流の決壊・氾濫は意外と頻度が高い。支流近くに住まれている方は、支流がどういう時に氾濫するのだろうかと日頃から知っておくことが必要」

大きな河川だけでなく、住宅周辺を流れる細い支流の氾濫にも、警戒が必要だという。

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そして、駅だけでなく、周辺の高層マンションなどにも被害があった武蔵小杉周辺。高層マンションの地下が浸水したり、停電や水が止まったりなどの被害が発生していた。

川崎市によると、通常、雨水は、下水道管を通って多摩川へ流れるが、多摩川の水位が上がったため、川の水が下水道管を通って逆流し、浸水した可能性があるという。被害があった現場では、排水作業などが、引き続き行われていた。

都市部にひそむ、水害の危険。今一度、身の回りに起こりうる危険を考える必要がありそうだ。