「H3ロケット」打ち上げ失敗 2段目エンジン着火せず「指令破壊信号」送信 日本の宇宙開発“切り札”が…
日本の宇宙開発の“切り札”として期待されていたH3ロケット1号機。直前で打ち上げが中止となった2月に続き、再び宇宙を目指した3月7日の打ち上げも失敗に終わりました。2段目のエンジンの着火が確認されず、H3ロケットには指令破壊信号が送られました。
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記者(鹿児島・種子島、7日午前10時37分ごろ)
「今リフトオフしました」
開発に9年、総開発費およそ2000億円をかけたH3ロケット1号機が宇宙に飛び立ちました。
記者
「一筋の白い線を引きながら上昇しています」
見物人
「迫力があってすごかったです」
しかし、発射からおよそ14分後…
JAXA担当者
「ミッションを達成する見込みがないという判断があり、指令破壊信号を送信した」
指令破壊信号を送信し、打ち上げは失敗に終わりました。
JAXA 山川宏理事長
「国民の皆様の期待に応えられず深くおわび申し上げます」
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H3ロケット1号機は日本の新型基幹ロケットとして、およそ30年ぶりに開発されました。当初、2月17日に打ち上げられる予定でしたが、異常信号が検知され補助ロケットが動かず、中止になっていました。
JAXA・H3プロジェクトチーム プロジェクトマネージャ・岡田匡史さん(2月17日)
「見守ってくださっていた方々が大勢いらっしゃるので、申し訳ないと思っていますし、我々もものすごく悔しい」
その後、原因をつきとめ、対応策の最終的なチェックにも合格しましたが、7日の打ち上げでは2段目のエンジンへの着火が確認されず、失敗となりました。
その原因について、2月に悔しさをあらわにした担当者は冷静に見極めていくと話しました。
JAXA・H3プロジェクトチーム プロジェクトマネージャ・岡田匡史さん
「まだ見当がつかないです。そこは決めつけるとほかの本当のことが見えなくなるんじゃないかと思います」
H3ロケットは、H2Aロケットの後継機として開発されました。運べる重量が1.5倍になった一方で、打ち上げコストは半分ほどのおよそ50億円で、日本の今後の宇宙開発の“切り札”として期待されています。
今回の失敗に、専門家は日本の宇宙ビジネスの発展に懸念を示しました。
大阪産業大学・宇宙推進ロケット工学研究室 田原弘一教授
「(影響は)非常に大きいですね。コスト面、打ち上げ能力、世界に完全に肩を並べるぐらいになっていた。この後、2号機、3号機とずっとスケジュールが決まっていた。2、3年遅れになるかと思います」
それでも期待の声はやみません。
打ち上げを見た人
「あきらめずに頑張ってほしいなと思います」
打ち上げを見た人
「『ロケット頑張って』という札を作って応援していきたいと思います」
JAXAは、まずは原因を究明し、できるだけ早くH3ロケットの打ち上げを再開したいとしています。