品薄続く消毒液…転売に対策、異業種参入も
手や指の消毒を行うアルコール消毒液は、依然、手に入りにくい状況が続いています。政府は、消毒液の転売を禁止する方針を決めました。品薄状態の解消につながるのでしょうか。
◆アルコール消毒液、なかなか入荷せず
新型コロナウイルスの感染予防のために使われるアルコール消毒液。街の人は……
30代女性「もう入ってないんですけど持ち歩いています。手洗ったあとに念のため(消毒液で)もう1回やってたりとか」
30代女性「チューブタイプの消毒液持ってます。お店でもポツポツ出始めてきて、値段もちょっとずつ下がってきたので、やっと買えました」
東京・北区の『ミヤザワ薬局』を訪れると……
鈴木照店長「これとこれは国産ですが、ほとんどが中国産の商品になります」
国産のアルコール消毒液がなかなか入荷しないため、これまで取り扱ってこなかった、アルコール濃度が高めの中国製品も仕入れているといいます。
──仕入れ先からはどんな声?
鈴木照店長「(国産品は)『出ちゃってない』と言われるのがほとんど」
◆アルコール消毒液も規制対象に
品薄が続いているアルコール消毒液。そんな中、政府が打ち出したのは……
加藤厚労相(19日)「高額な転売事例が後を絶たない。転売規制の対象にアルコール消毒製品を追加する政令改正を行う」
政府はことし3月からマスクの転売を法律で禁止していますが、新たにアルコール消毒液も規制対象に加えることを発表。ほかに消毒液の代用品として認められている「アルコール濃度の高い酒類」や「除菌シート」なども転売禁止の対象となり、違反した場合、罰則が科されることになります。
実際に、フリマサイトの一つを見てみると、通常の小売価格で4本で2500円前後の商品が、およそ8倍の1万9800円で高額転売されているケースが……。
営利目的の買い占めを防ぎ、必要な人に行き渡るようにするため、フリマアプリの「メルカリ」は、すでに「医療機関で必要とされる商品」の出品を禁止に。また、ヤフーが運営する「ヤフオク!」も、22日から消毒液や除菌シートなどの出品を全面的に禁止するなど、各社は対応を進めています。
◆急ピッチで増産も…一般向け需要には追いつかず
こうした中、三重県にある製薬会社『健栄製薬』では、急ピッチで消毒液を増産しています。
八木敏光工場長「通常の10倍ぐらいの受注数はいただいております」
2月から工場の稼働時間を一日7時間から15時間に倍増。しかし医療機関を優先して出荷しているため、一般向けの需要には追いついていないといいます。
八木敏光工場長「必要な方に1本でも多く届けたいので。政府の方から(転売の)規制をかけていただけるということで、メーカーとしてはちょっとほっとしている」
◆異業種から参入も!
異業種からの参入も。資生堂は化粧品メーカーの技術を生かし、手荒れに配慮した手指(しゅし)消毒液を新たに開発。国内4工場で生産し、医療機関を中心に提供していくということです。
一方、回転寿司チェーン「くら寿司」は、今月から自治体や医療機関に無償で提供。器具などの消毒殺菌用に自社製造している「微酸性電解水」を、消毒液不足に悩む自治体などに無償で渡しています。
『くら寿司』広報 辻明宏さん「普段は自分たちで扱う量だけつくっていたのを、最大限に(生産を)あげて、ほぼ毎日、取りに来ていただいている状況。学校の開校(再開)に伴って(自治体などの)教育機関からの問い合わせや引き取りが多くなっている」
消毒液の転売禁止の政令改正は、22日にも閣議決定され、来週初めには施行される見通しです。