他県への移動はOK?分かれる都と国の立場
国と東京都で、他県への移動について考え方に違いが生じています。小池都知事は4日、不要不急の他県への移動を自粛するよう都民に呼びかけました。一方、西村経済再生担当大臣は8日、県をまたぐ移動は自由との考えを示しました。夏休みを控え、東京の外への移動はどうしたらいいのでしょうか。
■7日の都内の感染者 7割が20~30代
東京都内で新たに確認された新型コロナウイルスの感染者は、7日まで6日連続で100人を超えていましたが、8日は75人でした。ただ、この数字を減少傾向とは捉えず、警戒を続ける必要があります。
7日に都内で確認された感染者106人の内訳を見てみます。 106人のうち、20代と30代が全体の7割を占めています。
夜の歓楽街と関係がある人は23人。
「職場内」での感染が11人。4つの職場で複数の人が感染しています。このうち、デスクワーク系の1つの職場で4人が感染していました。
「施設内」の感染者の中には、幼稚園児2人が入っています。この幼稚園では、これまで園児2人職員3人の感染が確認されていて、合わせて7人となりました。
他にも、親が子どもを車で送迎したときに、車の中で子どもから親に感染したとみられるケースもあるといいます。
これは、同居していない親子です。同居している親子での感染はこれまでもありますが、今回のケースは移動の車中で接触して感染したとみられるということです。
感染経路不明の人は47人ですが、この中で数人が国内旅行に行っていたということです。東京都は「行動範囲が広がり、感染している人が多い。行動すると感染する可能性が高いので注意してほしい」と話しています。
■他県への移動 食い違う国と都の見解
これから夏休みシーズンで、東京の人は他県に旅行していいか悩む人も多いかもしれません。県をまたぐ移動は6月19日から緩和され、政府は県をまたぐ観光も徐々に緩和していく段階に入っています。8月からは、「GoToキャンペーン」による支援をしつつ、観光が解禁される予定です。この事業の開始は、8月の可能な限り早い段階を目指しているということです。
小池都知事は4日、「不要不急の他県への移動はご遠慮いただきたい」と都民に呼びかけました。連日100人以上の感染者が確認され、4日も131人の感染者が東京都で確認されていますので、他の県に”飛び火”させるのを防ぐためということがあります。
これに対して、西村大臣は小池都知事と電話で協議し、8日に国会で次のように答弁しました。
「市中感染が広がっている状況ではないという判断を専門家の皆さんからもいただいております。政府の方針としては、これまでの基本的対処方針や都道府県に対する通知でもお示しをしております通り、県をまたぐ移動も自由だということであります」
国としては、発熱や体調不良がない限りは“県をまたぐ移動は自由にしていい”としています。
これに対して、小池都知事は8日、次のように話しました。
「都外への外出等々については、特にお体の具合悪い方は出張等々あるかもしれませんけれど、どうかそこはですね気をつけていただいて、その上でお願いをしたいと思います」
4日の発言にくらべると、“体調が悪い人は気をつけて”と、少し言いっぷりが変わり、西村大臣の方に近づいたようです。
■4月と比べ重症者は激減 どう見る?
経済を回していかないといけないので、移動の自粛に際しては、国も東京都も総合的な判断をしていますが、背景のひとつに「感染者の中身」があります。
東京都における重症者の数を見てみます。
4月28日は105人と一時は100人を超えていましたが、最近になると重症者はぐっと減り、7日は8人です。感染者の数は増えていますが、重症者は減っています。
これは、「重症化しにくいといわれる若い世代の感染が多いから」ということです。新宿区など夜の街で集団検査して、症状がない若い人の感染も見つかり、ホテル療養などになるケースが多数を占めています。
以前は高齢者が重症化し医療機関も逼迫していたため、緊急事態宣言が出され外出自粛の要請されていた頃と今とでは、状況が違うと言えます。小池都知事も「医療提供体制に問題がない」と話しています。
■豊島区は独自で休業要請 協力金も
若い世代の感染者が増えている中、区独自の新たな動きが出てきています。
池袋がある豊島区は、区独自で区内のホストクラブ全従業員を対象にPCR検査を行うことにしました。豊島区のまだ検査をしてない8つのホストクラブの100人前後の従業員の検査費用を、区が受け持つということです。
検査の結果、店でクラスターが発生した場合は、区は独自でその店に休業要請をします。休業要請に従った店舗には協力金を出すことにしたということです。
豊島区の高野区長は7日、小池都知事に協力を要請し、東京都は全額補助も含めた支援策を検討しているということです。
国と東京都のスタンスの違いが生じていますが、影響が出る人のことも考えた上で、足並みをそろえてほしいと思います。
2020年7月8日放送 news every.「ナゼナニっ?」より