そうめん需要増“売れ過ぎ”で困惑も

暑い夏に需要が高まる「そうめん」。特に今年は「巣ごもり」の影響もあって、売れ行きが好調だといいます。手軽で様々にアレンジできるのも魅力の一つですが、予想を超える売れ行きで、生産業者が困惑する事態にもなっています。
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連日続く暑さの中のランチタイム。夏バテにも負けずお客さんがすすっていたのは――
客「つるつるしてて喉が通りやすい感じで」「涼しいものが食べたくて。ずっとそうめん食べてる」
夏の定番「そうめん」です。専門店とあって、常時20種類ものメニューを用意。氷水できゅっと冷やしたそうめんに、濃厚な明太クリームをたっぷりかけたもの(明太クリームそうめん 1100円・税込)や、緑色のそうめんは、バジルをあえて梅をトッピング。洋風にアレンジしたものも(大葉ジェノベーゼそうめん 950円・税込)。
6割が女性客だというこちらの店(「そうめん そそそ」東京・渋谷区)。そうめん人気の高まりを感じているといいます。
そんなそうめんに今、さらなる追い風が。都内のスーパーでは、店の目立つ場所に置かれたそうめん。買い物客に聞いてみると――
客「1週間に一度って言ったけどもっと食べてるかも。こう暑いと(食欲が)ないからつるっと」「(そうめんを買うことが)倍以上増えてるかな。ゆでてすぐ食べられるし、在宅勤務で時間がないので」
暑さに加え、感染拡大で「おうち時間」が増えて、そうめんを食べる機会が増えたという声が。スーパーでも去年より仕入れの頻度が上がっているといいます。
信濃屋 代田食品館 鈴木誠・営業副本部長「去年の2倍~2.5倍ほど売り上げている商品です。今年の傾向なんですが、色んな種類を購入されて。そうめんの色んな産地を買われる方が多いですね」
かつてない脚光を浴びるそうめん。しかし、生産地では喜んでばかりいられない状況が。
全国有数の手延べそうめんの生産地、長崎県南島原市では。
川上製麺 三代目麺師・川上貴弘さん「5月頃から例年の倍くらいのペースで出荷が進んでいって、7月の初旬には在庫がほとんど残っていないという状況でした」
「巣ごもり需要」の影響で、ネットでの注文が増え、連日作業に大忙しだといいます。ただ、うれしい悲鳴かと思いきや、こんな問題が。
川上さん「5月6月とかに出荷が増えたからといって追加で大量に作って備蓄していくのは難しい」
実は夏の時期、配送などの作業に人手が必要で、さらに暑さで生地がくっつきやすくなるため、大量に生産することが難しいというのです。そのため、急なニーズの高まりに対応できず、注文を断らざるをえないこともあるといいます。
一方、そうめんブームに期待をよせる生産地も。都内にあるアンテナショップに並んでいたのは、愛媛県や香川県の特産品を練り込んだご当地そうめんです(黄色:愛媛・いよかん ピンク:愛媛・梅 緑:香川・オリーブ)。中でも人気なのが――
香川・愛媛 せとうち旬彩館・斎藤誠店長「昨日まで売り切れてまして今日の朝ようやく入荷いたしました。当店一番人気の『島の光』です」
香川県小豆島で作られるそうめん。ごま油を加えていて、コシが強いのが特徴です。地元では観光客のお土産などの注文が減っている分、家庭で楽しんでほしいといいます。
様々な楽しみ方ができるそうめん。人気は続きそうです。