【解説】鳥島近海で発見された「軽石」 最近の火山活動による可能性が――原因不明“ナゾの津波”との関連は?
11月6日から12日までの期間、震度1以上の地震は43回ありました。また震度4の地震が3回発生しています。
▼6日午前2時10分ごろ、宮城県石巻市で震度4の地震がありました。震源は福島県沖、地震の規模を示すマグニチュードは5.0、震源の深さは56キロでした。
▼7日午後0時55分ごろ、鹿児島県十島村で震度3の地震がありました。震源はトカラ列島近海で地震の規模を示すマグニチュードは4.1、震源の深さは12キロでした。
▼7日午後1時43分ごろ、新潟県十日町市で震度3の地震がありました。震源は新潟県中越地方で地震の規模を示すマグニチュードは3.1、震源の深さは9キロでした。
▼8日午前11時4分ごろ、岐阜県高山市で震度3の地震がありました。震源は岐阜県飛騨地方で地震の規模を示すマグニチュードは3.3、震源の深さは5キロでした。
▼10日午前10時0分ごろ、東京都千代田区や神奈川県厚木市などで震度3の地震がありました。震源は神奈川県西部で地震の規模を示すマグニチュードは4.2、震源の深さは105キロでした。陸のプレートの下に沈み込んでいる太平洋プレート内部で発生したものとみられます。この地域で、この深さの地震で震度3を観測する地震は時々発生しています。
▼10日午前10時54分ごろ、高知県室戸市で震度3の地震がありました。震源は土佐湾で地震の規模を示すマグニチュードは4.3、震源の深さは30キロでした。
▼11日午前5時50分ごろ、鹿児島県曽於市、大崎町で震度4の地震がありました。震源は鹿児島湾で地震の規模を示すマグニチュードは5.0、震源の深さは104キロでした。
▼11日午後10時2分ごろ、鹿児島県十島村で震度4の地震がありました。震源はトカラ列島近海で地震の規模を示すマグニチュードは4.3、震源の深さは13キロでした。
▼12日午後8時31分ごろ、鹿児島県十島村で震度3の地震がありました。震源はトカラ列島近海で地震の規模を示すマグニチュードは3.1、震源の深さは10キロでした。(速報値)
鹿児島県のトカラ列島近海を震源とする地震が相次いでいます。この期間の最大震度は4です。今回の地震活動、震源は口之島や中之島の近くです。今年9月にも短期間に地震活動がまとまっておきていて、その時の震源は悪石島の南、小宝島の近くでした。
今回、活動が活発なエリアでは今年5月にも地震が頻発していて、当時は最大震度5弱の地震もおきています。震源が浅い地震のため、地震の規模が少し大きくなると、近くの島では強い揺れになることもあるので注意が必要です。
10月下旬に気象庁の観測船が鳥島近海で採取した「軽石」ですが、東大地震研究所や産業技術総合研究所が分析をおこないました。
「軽石」には、長く浮遊していると付く可能性がある貝など海の生物の付着が少なかったこと、また、角張っている石が多いことなどから、最近の火山活動によってできた「新しい軽石」だったことが分かりました。さらに化学組成を調べると、鳥島を含む火山帯周辺に分布する火山岩の特徴「流紋岩」と類似しているということです。
2021年、全国の海岸に漂着して大きな影響が出たのは、小笠原諸島の海底火山・福徳岡ノ場の軽石です。今回、鳥島近海で見つかった軽石と比較すると、色も異なっています。火山ごとにマグマの特徴が違うため、含まれる成分も異なり、軽石を分析することで、どこの火山のものか、特定につながることもあります。
今回分析された軽石は、鳥島の西側の海域に分布する岩石の特徴に似ていることが分かりました。また、この海域の近くには10月に原因不明の津波が発生し地震活動が相次いだエリアがあります。
一方で、気象庁によりますと、小笠原諸島で最近、火山活動が活発な「福徳岡ノ場」や「硫黄島」「海徳海山」の噴出物とは異なるとしています。引き続き、「軽石」と10月におきた津波の原因との因果関係について調査が進められています。
そんな中、国の研究機関も緊急の調査を始めました。JAMSTEC=海洋研究開発機構が11月9日から研究船「かいめい」を鳥島近海に派遣しています。目的は海底の地形データの収集と、地滑りの痕跡や海底の地形変動の把握、さらに海底地震計を設置して、詳しい震源を調べる方針です。