10月の鳥島近海の地震・津波 遠く離れた宮崎・鹿児島で揺れを観測 マグニチュードも明らかに
先月9日、伊豆諸島の鳥島近海で発生した原因不明の地震と津波について、政府の地震調査委員会は、地震の規模を示すマグニチュードが4から5程度にもかかわらず津波が発生し、遠く離れた九州地方の宮崎県と鹿児島県で、震度1から2の揺れを観測していたことを明らかにしました。
伊豆諸島の鳥島近海では先月9日、規模の小さな地震が多発して津波も発生し、東京の八丈島・八重根で高さ70センチ、さらに太平洋沿岸の広い範囲で津波が観測されました。
ただ、この時は通常の地震でみられるP波やS波が不明瞭で、正確な震源やマグニチュードが求められておらず、津波が発生した原因が分かっていません。
気象庁が地震データを分析したところ、先月9日の早朝には、地震波が音波に変換されて海中を伝わる「T波」が14回発生していたことが確認されていましたが、この「T波」の発生源が、鳥島近海にある海底火山「孀婦岩」から西に30キロから50キロほど離れた場所であることが新たにわかりました。
さらに、この「T波」の地震の規模はいずれもマグニチュード4から5程度であったこともわかりました。
9日の地震では、鳥島をはじめ国内の震度観測点で震度1以上の揺れを観測した地点はないとされていましたが、気象庁がデータを精査した結果、鳥島近海からおよそ850キロから1000キロ離れた九州地方の太平洋沿岸にある宮崎県の都農町、川南町、木城町と鹿児島県の喜界島で震度1から2の揺れを観測していたということです。
政府の地震調査委員会は、音波であるT波は、海中を伝わって減衰しないまま遠くまで届く性質があるため、遠く離れた九州地方で揺れを観測した可能性があると説明しています。
鳥島近海の地震活動は、現在は低下していて顕著な揺れは観測されていないということですが、政府の地震調査委員会の委員長で東京大学の平田直名誉教授は、今後も、揺れを感じなくても津波が発生するおそれがあるため、津波に関する情報に十分注意してほしいと話しています。
また、鳥島近海では最近の火山噴火によって生まれたとみられる軽石が見つかっていますが、地震調査委員会は、先月の津波の発生と周辺の火山活動は関係があると考えられるとしています。