能登半島地震発生した“元日の夜” 富山県防災航空隊、被災地を上空から撮影
能登半島地震が発生した元日の夜、甚大な被害を受けた石川県能登地方を富山県の防災航空隊が上空から撮影し記録しました。あの夜の緊迫した状況を映像から振り返ります。
「現在、輪島市街地の火災、上空飛行中です」「消防車両1台のみしか確認できず、消火活動が実施されていないような状況です」
夜の街を包みこむ赤い炎。能登半島地震が発生した元日の夜に、石川県の被災地の上空で撮影された映像です。撮影したのは、県の消防防災航空隊。
副隊長の中田大亮さんは、ヘリコプターから街の惨状を目の当たりにしました。
中田大亮副隊長「かなり広範囲に燃え広がっていて、炎も高く上がっていました」
「あれ相当燃えてないけ」「かなりね」「東京ドームにしたら2個分くらい燃えとるやろ」「かなりひどい…」
地震発生後に大規模火災に見舞われた市内の観光名所「輪島朝市」。当時、上空から見えたのは消火活動が進まない厳しい状況でした。
「消防車両は対応中かな?」「全然足りていないね」「密集地?住宅かね?」「多分住宅なんだろうけど…何かわからない」「放水されとる?」「全然足りていないね」「消防力が足りていない」
さらに別の場所では…。
「この辺は停電しているんですかね」「そんな感じですね、真っ暗ですもんね」「このピカピカはSOSってことか」「レスキューはできんけど…」
中田大亮副隊長
「おそらく航空機に向けて(SOSの)ライトを照射している様子が確認できたが、夜間は救助活動はできないのでもどかしさはありました」
水難事故や山岳遭難が発生した際に現場に赴き、救助活動などにあたる消防防災航空隊。しかし、安全のため、ヘリで被災者をひきあげられるのは日が出ている時間に限られています。
中田大亮副隊長
「情報収集の映像をもとに次の救助活動につながることを願って活動していました」
危険が伴う夜間の飛行は航空隊として初めてでした。強い緊張を強いられる中、隊員たちは、被災地の撮影が人命救助につながると信じて情報収集を続けました。
航空隊は翌日以降も能登へ飛び続け、およそ20回の出動で44人を救助しました。
中田さんは、大規模災害では、救助の手がすぐに届くとは限らず、それぞれが日頃から避難方法や備蓄品などについて確認しておくことが大切だと話します。
中田大亮副隊長
「地震直後ということもあって、能登の消防隊、119番通報も多い中、火災への対応が間に合っていないなと上空からは見受けられました」「災害はいつ起きるかわかりませんので、日頃からの備えを十分にしていただきたい」