「新型コロナ」後遺症 研究最前線
新型コロナウイルスに一度かかると後遺症を訴える患者も一定の割合いるといわれています。
どんな症状があるのか、日本国内の研究が報告されましたので、詳しく解説します。
■学生寮や職場内でのクラスター
東京の新たな感染者は、10月26日は102人。7日連続で100人を超えています。
25日に都内の感染者は累計で3万人を超えました。増え方のスピードは、1月末に初の感染者が出て1万人に達するまでは約6か月。その後、夏に2万人に達するまでは約1か月。そして、3万人になるまでは約2か月。増加のスピードはわずかに減少しています。しかし、最近も1日で200人超える日もあるので、まだまだ警戒が必要です。
都内で新たなクラスターも発生しています。法政大学サッカー部の部員やスタッフ20人が、町田市にある合宿所で感染しました。合宿所といっても住んでいたということで、寮のようなものであったということです。また、早稲田大学のスケート部、アイスホッケー部門の学生6人は、都内にある同じ学生寮に住んでいて感染したということです。
どちらも合宿所・学生寮でのクラスターです。都の担当者は、「寮では一緒に接する時間が長くなり、リスクが高まるので、改めて基本的な感染対策をお願いしたい」と話しています。
ほかにも、千葉では職場内でのクラスターが広がっています。船橋市の物流倉庫では、10月15日に20代男性従業員の感染が判明した後、10月26日までに従業員78人が感染しました。この会社では、全従業員およそ700人に、順次PCR検査を行っているということです。
職場内でも家庭内でも手洗いなどの感染対策を油断してはいけません。
■「Long」COVID 後遺症研究の最前線
新型コロナウイルスのことをCOVIDといいますが、海外では「Long」COVIDと呼ばれる症状が多く報告されているといいます。長いCOVID、感染から何か月もたっても後遺症など不調な状態が続くことで、世界中で報告されているということです。こうした中、日本での研究結果がまとめられました。
都内で多くの新型コロナ患者の治療にあたっている国立国際医療研究センターの調査が発表されました。新型コロナで入院し退院した人63人を追跡調査したものです。調査によると、発症から約4か月たった後、息切れがあったのは7人、倦怠感が6人、嗅覚異常が6人、せきが4人、症状が持続していたということです。
さらに追加で調査できた58人中14人と、ほぼ4分の1の人が、発症から2か月ほど後に、脱毛症になっていたこともわかりました。コロナ発症時には脱毛の症状はなかったということで、症状が2か月半ほど続いたという人もいます。
実際にコロナに感染した男性に取材しました。
20代の男性で7月末に発症、38度の発熱がでて、ホテルで6日間隔離生活をした男性です。発症からちょうど3か月経過していますが、今は症状はなにもないということです。ただし、ホテルでの隔離が終わった後も、嗅覚障害が約10日間残っていたということです。今回の後遺症の研究結果について、男性は「一度感染すると何が起きるかわからないので不安。警戒し続けている」と話しています。
イギリスでは「LongCovidSOS」という患者支援団体も設立されています。この団体には、感染から何か月たっても不調が続く人の声が寄せられています。症状は様々で、たとえば、倦怠感がコロナ後の別のものなのか、まだ感染症にかかったままなのか、わからないというとまどいや不安の声が多いということです。
■感染リスクが高まる5つの場面
わからないことが多いだけに、感染しないために私たちが気をつけていくこと、できることおさらいします。政府の分科会が示した感染リスクが高まる5つの場面は、以下の通りです。
1)「飲食を伴う懇親会等」
飲酒の影響で注意力低下し、聴覚も鈍くなり、大声になりやすい。
2)「大人数や長時間におよぶ飲食」
5人以上の飲食では、大声になり飛沫が飛びやすく、時間が長くなれば感染リスクは高まります。
3)「マスクなしでの会話」
4)「狭い空間での共同生活」
5)「居場所の切り替わり」
仕事で休憩時間に入ったときなど、居場所が切り替わると、気の緩みなどでリスクが高まることもあります。
休憩室や喫煙所、更衣室でも感染が疑われる事例もあります。
この5つの場面を避けるように、年末年始にかけて過ごしましょう。
コロナ感染後の後遺症の実態が報告されましたが、日本ではこれまでコロナにおよそ9万7千人が感染しているので、一定の割合の方が、原因がわからない症状が続いている可能性もあります。研究や調査を進め支援していくことはもちろんのことですが、職場などでの社会的な理解も求められます。
(2020年10月26日 16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)