デザイナー・森英恵さん死去 「30年以上使用」高校制服に込めた思い
日本を代表するデザイナーの森英恵さんが、老衰のため亡くなっていたことがわかりました。96歳でした。皇后雅子さまのご成婚時の衣装や、航空会社の制服なども手がけました。ある高校では30年以上、森さんが手がけた制服が使用されています。
◇
鮮やかな色彩や、和の伝統などを生かしたデザインで知られるファッションデザイナーの森英恵さん。11日、老衰のため都内の自宅で亡くなっていたことがわかりました。96歳でした。9日に微熱で体調を崩すまで、自宅で仕事を続けていたといいます。
2004年、森さんの最後となるパリコレクションには、孫の森泉さんも出演しました。突然となった祖母との別れに、泉さんは「たくさんの楽しい思い出と貴重な体験をありがとう」と、自身のインスタグラムに投稿しました。
◇
1951年にスタジオを設立し、デザイナーとしての1歩を踏み出した森さん。これまで数百本の映画で衣装を担当し、石原裕次郎さんや吉永小百合さんなど数々のスターの衣装を手がけてきました。
1993年には、現在の天皇皇后両陛下のロイヤルウエディングで、皇后雅子さまのローブデコルテをデザインするなど、時代を象徴する衣装を手がけました。
◇
また、中学校や高校の制服も数多くデザインしました。埼玉県の県立越谷南高校でも30年以上、森さんが手がけた制服が使われています。オリーブ色を基調としたデザインで、ボタンには「蝶」のマークもあしらわれています。
森英恵さんデザインの制服 県立越谷南高校3年生
「袖に控えめに校章の刺繍が入っていて、この蝶のボタンもついていて、お気に入りのポイントです」
森英恵さんデザインの制服 県立越谷南高校1年生
「同じ中学校だった後輩に、『制服がかわいいから、この学校に行きたい』とたくさん言われた」
森さんは「豊かな感性に響くように」と制服に思いを込めたといいます。
森英恵さんデザインの制服 県立越谷南高校1年生
「制服にむけたメッセージを心に刻みながら、充実した学校生活にしていきたい」
また、日本航空の客室乗務員の制服をデザインすると、中にはミニスカートのワンピースのものも。
森英恵さん(1989年・当時63)
「平成の時代に入って、なんかすごくファッションが文化として、国からちゃんと認められたということが、とてもうれしいです」
1996年には服飾デザイナーとして初めて文化勲章を受章しました。森さんは、ファッション界に多くの功績を残しました。
冨永愛さんは「パリで開催されていた彼女のコレクションに出演できたことは私の大切な思い出」と自身のインスタグラムに投稿しました。
黒柳徹子さんも「お作りになるお洋服は、女性的で、感覚的で、しかも品格があり、外国のどこに着て行っても堂々としていられました」「いつまでも、先生のお洋服が着られる体型にして、美しくいたいと思います」と自身のインスタグラムに投稿しました。
葬儀はすでに近親者のみで営まれ、後日、お別れの会が行われる予定だということです。
(8月18日放送『news zero』より)