【メタバース】花王や大丸松坂屋など有名企業も多数出展 VR最大級のイベント「バーチャルマーケット」大企業が注目する“イマーシブ”な体験とは
「バーチャルマーケット」とはメタバース最大級のイベントで、あのギネス世界記録も取得しているとのこと。一度の開催で世界中から130万人もの人が訪れています。
様々な大手企業がブースを展開しており、VRゴーグルを使用することで、バーチャル空間ならではの臨場感ある体験が楽しめます。また、スマートフォンやパソコンからでも参加が可能です。
今回は、その「バーチャルマーケット」を運営する会社に行って、実際に体験をしながら話をききました。
株式会社HIKKY 広報・PR担当 松澤 亜希美さん:
「世の中は広告であふれていて、SNSを見ても急に動画広告が出てくるといった一方的な広告がすごく多いですよね その中でメタバースの何がマーケティングとして注目されているかいうと、まず、1つの要素として、“イマーシブ” という言葉が注目されているところです」
「ただ一方的に見せられるのではなく、没入感のある体験をすることによって、気づいたら企業や商品を知っていて、好感度が上がったなどといった結果が調査で出ていて、そうした観点で企業でもメタバースを活用していただいています」
「メタバースの中でできることもどんどん増えていますし、コミュニケーションなどができるコンテンツも増えています」
「ただ、まだ便利さよりも楽しさやエンタメ性の方が重要視されていて、例えば水を買いたいときはメタバースよりもインターネットで検索してECサイトを使った方が便利ですよね、メタバースの中で買い物をすることは、実際に街をめぐって、水を買いに来たけど、コンビニに入ると何か新作のお菓子があって、おいしそうで買ってしまうというような出会いがあるというようなことを楽しめるというのがECサイトでの買い物との違いだと思います」
■あのスポーツカーがバーチャル空間に...
会場に入り、早速目にとまったのは大きな車。
マツダのブースでは、人気スポーツカーのロードスターがメタバース空間で見ることができます。
また、カメラでアバターを認識し、車の方に写真を張り付けることができます。色やデザインが自在に変えられるのも、メタバースならではということです。
株式会社HIKKY 営業統括 大河原あゆみさん:
「今、若い人が車に興味がなくなっているという話だけど、まずは気軽に車に触れてもらうという取り組みをしています」
次に訪れたのは大丸松坂屋百貨店のブース。
今回で9回目の出展で、バーチャル空間上で実際に商品の購入もできます。また、メタバース上で使えるアバターの購入や謎解きゲームも楽しめます。
まず気になったのは京風カレーうどん。
大河原:「お店では調理した状態はわからないと思います。それをメタバース上でどのような感じで調理されるのかを感じていただきつつ、商品選びを楽しんでいただいています」
こちらでは、ワインのコーナーも。
大河原:「商品のテキスト(成分表示など)も細かくなっていて、実際にどういう成分が含まれているのかも確認できます」
大河原:「また、実際に手に持って写真を撮り“こんな商品見つけたよ”“おいしかった” とSNSで“飯テロツイート”のような発信を文化として、メタバースではやっています」
「“界隈消費”という企業から宣伝を受けた物より、普段やりとりをしている友達が“これいいよ”とさりげなくおすすめした物を買いたくなるということが若い人を中心に流行っていて、そこも有効な広告手段なのではないかと思います」
こちらの大きな看板にある“注文はこちら”というところを選択すると、PCの画面上にECサイトが開き、実際に商品を購入することができます。
「8個入りのプリンが5000円ということで、プリンにしては高額だと思う方もいると思いますが、バーチャル空間での買い物は、テーマパークに遊びに行ったお土産や楽しかった思い出を持ち帰るために商品を購入するという感覚なので、多少高額でも売れるというのが、特徴の1つでもあります」
大丸松坂屋の担当者にも話をききました。
大丸松坂屋百貨店本社ギフト企画スタッフ 田中直毅さん:
「ちょうどコロナの時に百貨店を休業し、お客様も来られないという状況下で何かタッチポイントとして新しい物を考えていくときに、 “バーチャルマーケット” と巡り会うことができたので、1度こういうところでやってみようと始まりました」
「VR上で食品はどう見られるのかと思い、初めての出店では屋台みたいなところに席を用意したところ、皆さんが3Dモデルで宴会をしていました」
「このようにエンターテインメントのきっかけとしてとっつきやすいので、食品を出し続けています」
続いては、花王のブースに訪れました。
今回は飛行船のイメージで作られていて、実際に花王製品をモチーフにした体験型ゲームが楽しめるといいます。
目の前の“臭王(におう)”と呼ばれる敵と周りの汚れをクイックルワイパーなどのお馴染みの花王製品を使って退治するというゲームです。
花王の担当者の方に話をききました。
花王グループカスタマーマーケティング株式会社 トレードマーケティング部門 菊田修太郎さん:
「楽しんでいるコメントをたくさん頂いています」
「花王グループは生活に必要な日用品を扱っているので、多様な生活者と花王との新たなタッチポイントとして、メタバースに着目しています」
「花王がはっちゃけたブースを出していることに対して、称えるようなうれしいコメントが多く、メタバースでの発信に可能性を感じました」
また、実際に商品をECサイトで購入することもできます。忠実に再現された3Dモデルには、裏の注意書きまで隅々確認ができ、ECサイトで購入する際に役立てることもできます。
続いてのブースは、富士山をメインに日本のいいところを詰め込んだといという会場。和な雰囲気が特徴で、春夏秋冬それぞれを体感できるといいます。
大河原:「バーチャルマーケットは海外の方も40%ほどいるので、こうした和の空間は喜ばれます」
そしてこちらには、アウトドアメーカーシューズのメーカー、KEENのブースも。
大河原:「KEENは靴を作る際、地球にやさしい素材を使っていたり、実際に私たちが靴を買った売り上げの一部が世界中の環境問題や災害で困っている方に一部寄付されるというシステムをもっています」
実際にこちらでは、KEENの靴を作る体験ができるということです。 自分好みの色を選び、オリジナルの靴を制作しました。
実際にこのデザインで購入できるというわけではないが、今後(メタバース上の体験を現実にするようなことを)したいという企業や準備をしている企業もあります。
■“パラリアルお台場でサイクリング”お店で難しい試乗も可能に
続いて訪れたのは、バーチャル空間にリアルに再現されたパラリアルお台場。こちらではYAMAHAのブースでバーチャル空間内でサイクリング体験をしました。
大河原:「実際にお店だと試乗が難しいということもありますが、メタバース空間上だと乗れるというのがポイントになっています」
バーチャル空間でリアルなお台場をサイクリングして、メタバース空間と現実の融合を感じることができました。
最後に、今回案内していただいた大河原さんにも改めて話をききました。
大河原:「今回は2人だけでしたが、開催期間中は世界中から16日間で130万人ほど訪れて、本当に賑わいます」
「英語や中国語、日本語など色々な言語が飛び交い、リアルな街にいるかのような体験ができます」
この体験を通して、離れていても、実際友達と会って話しているかのようなリアルなコミュニケーションを体験することができました。
2021年から「バーチャルマーケット」は年2回、夏と冬に開催されていて、現在開催中の「バーチャルマーケット2024 Winter 」は22日までということです。