【解説】千葉で地震多発…房総沖で「スロースリップ」か 大地震との関係は?
千葉で地震が相次ぎ、この1週間で体に感じる揺れが32回発生しています。この地震に関係があるのではないかとみられている「スロースリップ」について、解説します。
「この地震に関係があるのではないかとみられているのが『スロースリップ』。いまも私たちの足元で、静かに起きているといいます。巨大地震につながる可能性もあるというのですが、どういうものなんでしょう?」
小野高弘・日本テレビ解説委員
「『スロースリップ』が起きている場所は、房総半島沖の深さ20キロから30キロ。陸のプレートがあり、その下に海のプレートが潜り込んでいます。陸のプレートが引きずり込まれて、ひずみが生じています」
「ひずみは当然、戻ろうとします。一気に戻るのではなく、ゆっくりゆっくり、滑るように動くわけです。ゆっくり滑るから『スロースリップ』です」
「どのぐらいゆっくりかというと、“数日かけて2センチ”。房総半島沖の2月28日までのデータによると、そのぐらいだと推定されています。そしていまも、滑り続けているといいます」
有働キャスター
「数日で2センチということは、体で感じるということはないですよね。それがなぜ、震度3や4になるんですか?」
小野解説委員
「プレートとプレートの境目の部分には、岩盤同士のくっつきが強い部分があり、滑ることに対してブレーキをかけています。しかし、その部分が踏ん張りきれなくなって、ズレ動くことによって、地震を起こしているのではないかとみられています」
有働キャスター
「スロースリップは、巨大な地震にもつながりかねない、ということですか?」
小野解説委員
「東日本大震災で、こんな研究があります。震源域を調べると、3月11日の本震、その前の1か月間で2回のスロースリップが起きていたことがわかったといいます。スロースリップによってひずみが集中し、巨大な地震が引き起こされた可能性があるといいます。だから侮れないんです」
「いま全国1300か所で、地表の動きを数ミリレベルで監視していますが、それによってどこでスロースリップが起きているかがわかるといいます」
「すると、中部地方南部や近畿地方南部、そして四国地方でも、たびたび起きているというんです。つまり、南海トラフ地震の想定域、その地下深くでも、常に観測されているというわけです。」
「千葉に住んでいて心配な方もたくさんいると思いますが、房総沖でのスロースリップは1、2か月は続くのではないかとみられています。陸地の下が震源になると震度5弱程度の揺れになるといい、東京でも震度4ぐらいの揺れになると考えられます。一方で、震源が海底になると、津波の心配もあるので注意が必要です」
有働キャスター
「震度5弱程度というと、棚の本や食器が落ちてくる、固定していない家具が動いたりする揺れです。最低限、寝る前に、頭の上に落ちてくるものはないか、確かめてお休みください」
(3月4日放送『news zero』より)