×

【スロースリップ】千葉・房総沖の“ゆっくりすべり” 数年おきに繰り返し発生…群発地震と関係? 「週刊地震ニュース」で分析…世界では“巨大地震”も

2024年3月1日 21:41
【スロースリップ】千葉・房総沖の“ゆっくりすべり” 数年おきに繰り返し発生…群発地震と関係? 「週刊地震ニュース」で分析…世界では“巨大地震”も

千葉県東方沖を震源とする地震が相次ぐ中、1日開かれた地震調査委員会の臨時会合では、震源近くの房総半島沖で「ゆっくりすべり」と呼ばれる地殻変動が観測されていることが報告されました。房総沖周辺では「群発地震」と「ゆっくりすべり」が数年おきに繰り返し発生していて、過去には震度5弱の揺れを観測したことも。今後も強い揺れを伴う地震が起きるおそれも―――。
(※2023年2月6日「週刊地震ニュース」の内容を再編集)

■千葉県房総沖周辺での群発地震

2022年12月19日午前0時ごろ、千葉県長南町で震度4を観測する地震がありました。震源は千葉県北東部。実は、この地震がおきたエリアは何年かおきに、まとまった地震活動がおきている場所です。

■2018年6月は1か月で震度1以上の地震26回発生

▼2018年6月から約1か月にわたり千葉県東方沖から千葉県北東部・南部付近にかけて地震活動が活発になりました。

▼6月3日から30日までに最大震度1以上を観測した地震は26回発生。

▼26回のうち、最大震度4を観測した地震が2回、震度3を観測した地震は6回ありました。

▼このうち最大規模の地震は6月12日に海域で発生したマグニチュード4.9の地震。6月16日にはマグニチュード4.4の地震、さらに6月26日にはマグニチュード4.3の地震がおきています。

■2014年にも同領域で地震多発

2014年1月にも2018年6月と同じようなエリアで地震が頻発していました。この領域内で起きた地震の回数積算図の矢印は、1996年、2002年、2007年、2011年、2014年、2018年を指していて、これらの年にはまとまった地震活動と、さらに「ゆっくりすべり」という現象が一緒におきていました。

■「群発地震」と「ゆっくりすべり」4~5年おきに繰り返し発生

2022年12月19日に発生した地震の領域ではマグニチュード4から5クラスの「群発地震」と「ゆっくりすべり」が1~2週間あるいは、1か月ほど続くという現象が、4年から5年の間隔で繰り返しおきています。

■「ゆっくりすべり」

これらの地震の共通点①は「フィリピン海プレートと陸のプレートの境界で発生」。共通点②は群発地震と一緒にプレートの境界で「ゆっくりすべり」という現象が起きていること。

「ゆっくりすべり」とは、ゆっくりと断層が動くが地震波を発生させずにひずみを解放する現象です。

■「群発地震」と「ゆっくりすべり」同時発生のワケは

群発地震とゆっくりすべりがセットで起きる理由について、地震の専門家で環境防災総合政策研究機構の草野富二雄さんによりますと、はっきりとした理由はわからないということです。

ただ、ゆっくりすべりの現象は世界中で観測されていて発生した場所の近くでは、巨大地震が過去に発生しているため、もしかしたら地震予測に繋がる可能性があるため今後の研究成果が注目されているということです。

■過去にはマグニチュード6以上の地震が起きたことも…

また千葉県の外房のエリアはマグニチュード6以上の大きめの地震が時々起きる地域です。1987年12月17日、千葉県東方沖を震源とする地震では最大震度5を記録しました。この地震のマグニチュード6.7でした。

これまで解説した地震とは発生メカニズムは異なり、フィリピン海プレート内部で発生した地震です。成田空港では窓ガラスが割れ、鉄道の高架橋が破損するなど各地で大きな被害がでました。この地震では死者2人、負傷者161人と人的被害も出ています。

■関東地方は複数のプレートが重なり合う場所

関東地方、特に南関東は地下の浅いところに陸のプレートがあり、その下にはフィリピン海プレートと太平洋プレートが沈みこんでいます。

狭いエリアに複数のプレートが重なり合う、世界でもまれな特殊な場所で複雑な力がかかっていることもあり地震が多い場所になっているのです。

気象庁によりますと、2022年12月の地震は単発の地震で、まとまった地震活動にはなっていません。しかし過去には連続してまとまった地震が起きている場所であることから日頃から強い揺れに注意して備えが必要です。

一緒に見られているニュース