二重マスク効果は1割増…スパコンが解析
新型コロナウイルス感染拡大にともない首都圏の1都3県に出されている緊急事態宣言について、2週間延長が諮問委員会で了承されました。なぜ「2週間」なのか、理由を解説します。一方、引き続き基本的な感染対策が必要となる中、スパコン「富岳」が二重マスクを分析。その効果は。
■新たな感染者数、上昇に転じる
なぜ、「2週間」という延長幅になったのか、その背景がみえてきました。
5日、東京では新たに301人の新型コロナウイルスへの感染が確認され、再び300人を超えました。もう少し大きなトレンドを把握するために、新規感染者数が前の週と比べてどれくらい減少したかを、1週間ごとに区切ってみてみます。(7日間移動平均/対前週比)
宣言以降、新規感染者数は徐々に減ってきていましたが、2月半ばからは東京都が目安としている前週比70%を超えてきていて、5日は102%と上昇に転じてしまいました。
首都圏の3県も、4日は神奈川と千葉で100%を超えてしまっていて、前の週より増加しています。埼玉は96.8%で、下げ止まりの傾向です。
■延長幅なぜ2週間?「最低の単位」
焦点だった緊急事態宣言の延長期間は、今月8日からさらに2週間延長して、今月21日までとする方針です。期間については、5日朝に開かれた諮問委員会で「もう少し長い期間』延長すべき」との意見も出たといいますが、ではなぜ2週間なのか、諮問委員会に出席した委員からは、こんな声が聞かれました。
日本医師会常任理事・釜萢敏医師「これまでも現状の評価をするには2週間という時間がどうしても必要だという中で、2週間前のことがきょう、だいたい分かるということですから、『最低の単位』であると」
つまり、現在の感染状況は2週間前の私たちの行動が反映された結果なので、解除を判断するには最低2週間は必要だということなのです。
さらに、国民が自粛を徹底して感染者を減らしたり、専門家や自治体が解除後の体制を整えたりする…これらを行うには最低2週間は必要で、それを『最小の単位』として、延長することを了承したとのことでした。
宣言を解除する要件、つまり具体的な数値目標というのは、今のところみえてきていません。今回、期間の延長を発表するにあたっては、どういう状況になったら宣言が解除されるのか、政府は国民に対してしっかりとした説明が求められます。
■二重マスク効果は…スパコン「富岳」がシミュレーション
今後も、引き続き、基本的な感染対策が大切です。マスクの効果的な使い方について、理化学研究所がスーパーコンピューター「富岳」を使った新たなシミュレーション結果を発表しました。
二重にマスクをしている人が増えていますが、マスクのつけ方で飛沫を防ぐ効果がどれくらい違うのか、次の3つの条件で比較しました。
(1)不織布マスクの「ノーズフィッター」と呼ばれる金具を変形させずに、顔とマスクの間に隙間が空いた状態でつけた場合
(2)金具を鼻の形に合わせてつけた場合
(3)不織布の上にウレタンマスクを重ね、二重マスクにした場合
また、図にある「青い点」はマスクを透過した飛まつ、「黄色い点」は隙間から漏れた飛まつ、「赤い点」はマスクによってキャッチされた飛まつを表しています。
まず、(1)顔とマスクの間に隙間が空いた状態では、ほとんどの飛まつが、花の隙間から漏れてしまうことが分かりました。飛沫を全く通さない状況が100%とすると「69%」です。
次に、(2)の鼻に沿わせてつけた場合は、ほとんど鼻周辺の隙間からは漏れませんでしたが、ほおの隙間から少し漏れ出しているのが分かりました。このケースでは飛沫の「81%」は漏れ出しませんでした。
では、(3)の二重マスクではどうでしょうか。不織布の上にウレタンマスクをつけた場合、飛沫の「89%」は漏れ出しませんでした。
つまり、不織布マスクはつけ方が非常に重要だということが分かります。また二重マスクは、不織布1枚を正しくフィットさせてつけた場合と比べ、1割程度しか性能はアップしないことが分かりました。
研究チームは、「性能の観点からは、1枚の不織布マスクを鼻の形に合わせて隙間なくしっかりつけることが最もおすすめだ」としています。
今後、宣言がいつ解除されるのかが多くの人の関心事になってくると思いますが、一日も早く緊急事態を脱するためにも、マスクを効果的につけるなど、いま一度、基本に立ち返ることが大切だと思います。
(2021年3月5日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)