GWは…大阪“宣言”要請へ 政府は慎重
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、大阪にまん延防止等重点措置が適用されて19日で2週間ですが、依然として感染拡大は続いており、3度目の緊急事態宣言も視野に入ってきました。しかし政府は“宣言”には慎重なスタンスだといいます。
■大阪「より強い内容の緊急事態宣言が必要」
18日、大阪の新型コロナウイルスへの新規感染者数は1220人で、比較的少なくなる傾向がある日曜日に過去最多を更新しました。6日連続で1000人を超えています。依然として感染状況、医療提供体制ともに厳しい状況が続いているとして、大阪の吉村知事は19日、次のように述べて危機感をあらわにしました。
「やはり人の動きを大きく止めるような、より強い内容の緊急事態宣言が必要であると思っています。この間、前回の緊急事態宣言とほぼ同じ内容の夜8時までの時短要請、不要不急の外出自粛の呼びかけ、これをやってまいりましたが、現状大きく抑えられている状況にはなっていません」
■重症病床の使用率98.4%…宣言なら中身が重要
大阪府は、重症病床の使用率が『98.4%』と非常にひっ迫しています。吉村知事は、前回の緊急事態宣言とほぼ同じ内容の対策を今回『まん延防止等重点措置』でやったものの、効果が見られなかったとして、次に出す緊急事態宣言では中身が重要だと述べています。
例えば、人の動きを止めるという意味で『テーマパーク』『百貨店』など大規模商業施設などへの休業要請も含めて必要ではないかと思うと話しています。また、大学は引き続きオンライン授業、小中高は感染リスクの高い活動や部活動は引き続き休止するものの、『一斉休校』は考えていないということです。さらに期間については、経済に与える影響も大きいことから、長期間ではなく、強い対策を集中してやるべきとしました。
吉村知事は兵庫県と京都府の知事と協議した上で、20日、大阪府の対策本部会議を開き、宣言要請を正式に決定する見通しです。
■政府は宣言に“慎重”なスタンス
これをうけて19日、加藤官房長官も次のように述べました。
加藤官房長官「もし仮に(緊急事態宣言の要請が)出されれば、これは付帯決議に書いてありますように、速やかな検討を行っていく必要がある」
政府は、基本的には危機感を持っているものの、『緊急事態宣言』については慎重なスタンスをとっています。緊急事態宣言を出す前に、まだまだやるべきことはあるというスタンスで、政府内には、大阪については、今できる選択肢として「対象地域を増やすこともできる」という声があります。
また、政府は、東京についても「感染対策が足りていない」とみています。例えば、夜8時以降に大人数で騒いでいる居酒屋もあり、こうした部分への対策はまだ不十分ではないかというのです。
さらに政府は、緊急事態宣言は「最後のカード」であって、そんなに簡単に出すべきものではないととらえています。
ただ、これまでも自治体や専門家、世論に押される形で判断を迫られています。仮に宣言を出すとしても、具体的に効果のある対策を見極めた上で出さなければなりません。
■東京でも“宣言”要請検討「先手先手」
緊急事態宣言をめぐっては、東京でも、政府への要請が検討されていて、小池知事は18日、「いまは『先手先手』の対応が不可欠」だと述べました。宣言要請の時期についても、「危機管理の観点から、スピード感を持って考えなければいけない」としています。
■東京“まん延防止”の日曜、多地点で人出増加
その東京では19日、新たに405人の感染が確認されました。年代別で見てみると、20代・30代で約4割を占めますが、40代・50代も多くなっています。
18日は、東京に『まん延防止等重点措置』が出されて初めての日曜日でしたが、都内では多くの地点で人出が増加していました。
18日午後3時台の都内の人出を先週と比べると、渋谷センター街では16.9%減少した一方で、浅草駅では39%増加、吉祥寺駅では11.3%増加と、22地点中、半分以上の13地点で増加していました。(提供:Agoop)
■GW『オンライン帰省』を呼びかけ
18日に発表された感染経路に注目してみても、不要不急の外出や会食を控えていない事例が目につきます。例えば、ある30代女性は1週間前の日曜日に9人で『河原』で『バーベキュー』をしたことがきっかけで、感染したということです。都の担当者は、詳細は分からないが、これだけの人数が集まってバーベキューをしたら、お酒を飲んで、マスクを外しての会話もあっただろうと思うとし、屋外であっても飲食は控えてほしいと呼びかけています。また、別の事例では、離れて暮らす家族と会って感染したということもありました。
間もなく始まるゴールデンウイークについて、西村経済再生大臣は、感染拡大地域は日中を含めて『不要不急の外出自粛』を呼びかけています。また、こうしたエリアとの往来は『延期や自粛』を、帰省については『オンライン帰省』を呼びかけています。
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まん延防止等重点措置や緊急事態宣言に、「慣れてしまった」と言う人もいる中、『まん延防止』で効果が出ないから緊急事態宣言を出すというのではなく、納得して行動を変えられる、具体的な施策を示せるかどうかが今後のカギとなります。
(2021年4月19日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)