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【解説】百貨店は?学校は?“宣言”の内容

2021年4月23日 21:45
【解説】百貨店は?学校は?“宣言”の内容

新型コロナウイルスの感染拡大にともない、政府は今夜、東京、大阪、京都、兵庫に対し緊急事態宣言を出すことを決定します。期間は25日からの約2週間で、具体的な措置の内容も分かってきました。詳しく解説します。



■3回目の“宣言” 期間は?

新型コロナウイルスの感染拡大にともない3回目の緊急事態宣言となるのは、東京、大阪、京都、兵庫の4都府県で、期間は「25日(日)から来月11日」までとなっています。また、感染が拡大している愛媛県が、まん延防止等重点措置の対象に追加されます。

さらに、すでにまん延防止等重点措置が適用されている宮城県と沖縄県は、来月5日までだった期限が延長され、すべて来月11日までにそろいます。

■宣言内容(1) 飲食店

4都府県に出される緊急事態宣言の内容を詳しく見ていきます。

飲食店に対しては、夜8時までの時短要請に加え、お酒を提供していたり、カラオケができる店の場合は休業を要請します。例えば、居酒屋でソフトドリンクのみの提供にした場合は、夜8時までの営業は可能です。テイクアウトや宅配については、夜8時以降も営業可能です。

また店側に、「客にマスク着用を呼びかけること」「応じない客には入場を禁止すること」も求めます。従わない飲食店は、命令や罰則の対象となります。

■宣言内容(2) 大型商業施設など

今回の宣言の目的は、人の流れを抑え込むことです。よって、飲食店に限らず、大勢の人が集まる百貨店やショッピングセンターなど、「1000平方メートルを超える大型の商業施設」などにも休業要請を行う方針です。ただし、生活必需品の売り場は対象外です。

テーマパークやゲームセンターなどの遊興施設も、これに当てはまります。要請に応じた大型施設には一日当たり20万円の支給を検討しています。

■宣言内容 (3)イベント (4)鉄道・バス

プロ野球やJリーグなどのイベントについては、原則「無観客」で開催するよう要請。また、鉄道やバスなどの事業者には、平日の終電の繰り上げや休日の減便などを求めます。

■宣言内容(5) 公園

さらに、路上や公園に集まっての飲酒も問題になっていることから、公園などの閉鎖を求めるとしています。時間や範囲は都道府県の判断になりますが、飲酒防止だけでなく、去年の緊急事態宣言の時のような、行き場をなくした人々によって公園が密になってしまうというような事態も避けたいということです。

■学校・通院…外出自粛の“対象外”は?

対象地域では不要不急の移動・外出の自粛が求められますが、全ての外出がダメだというわけではありません。通院や食料など生活必需品の買い出し、健康維持のための散歩や運動は、自粛要請の対象外です。

また今回は、学校・幼稚園などに一律の臨時休校は求めないということです。ただ、感染リスクの高い部活動、課外活動については自粛を求めます。保育園や学童保育も感染対策を徹底した上で、原則、開所となります。

■埼玉・千葉・神奈川でも対策強化

一方、東京で酒が飲めなくても、隣県に飲みに行ってしまっては意味がありません。そこで、首都圏の埼玉、千葉、神奈川については、飲食店で酒類の提供をしないよう要請します。また、人の流れを抑えるため、百貨店、映画館、劇場などの施設に「時短」や「入場制限」を求めます。

■GW明けに宣言解除できるか…専門家「延長もあり得る」

今回の緊急事態宣言は、5月11日で本当に解除できるのでしょうか。これについて専門家は厳しい見方を示しています。

政府分科会・尾身茂会長
「5月11日になったら無条件になんでもかんでも解除ということじゃなくて、ステージ3になっていなければ延長もあり得る」

政府分科会に出席した日本医師会・釜萢敏常任理事
「(5月11日に)解除して、全てがリバウンドでさらにひどくなる…これが最悪事態ですから、それはなんとか避けなければならない」

専門家は、「連休中は検査数も下がるので、正確な感染状況の把握は難しい」としています。

■東京で“変異ウイルス”拡大

こうした中、東京でも懸念されているのが、変異ウイルスの急増です。23日、小池都知事は次のように話しました。

「コロナとの戦い、それも変異株という大変きつい戦いですけど、何日から始まるとか、そういうことではなく、今日からお願いしたいということです」

22日は、感染力が強いとされる「N501Y」の感染が過去最多の257人にのぼることが分かりました。感染者全体に占める割合で見ても、「N501Y」が徐々に増えていて、もう1つの「E484K」変異と合わせると、全体の約9割がすでに変異ウイルスに置き換わっています。

都の専門家がまとめた試算によると、東京都の全ての感染例が「N501Y」に置き換わったと仮定した場合、増加比が1.7なら、約2週間後に新規陽性者が2000人を超え、入院患者数は累計で6000人を超えると推計されています。

緊急事態の措置を行い、増加比を1.2にまで抑え込んだとしても、増加の傾向は少し緩やかになるものの、感染は収束ではなく拡大していくと推定されています。

つまり、このまま変異ウイルスが増え続ければ、宣言の解除が予定されている2週間後に東京の感染がある程度、収まっている見込みはかなり低いと言えそうです。

     ◇

今回の宣言の期間は「2週間程度」と短期集中を目指すことになりました。解除の基準についてはあまり具体的な数字は前面に出したくないという意見も政府内には出ているようですが、専門家の多くは日付ありきの解除ではなく、新規感染者数や医療提供体制など明確な科学的根拠に基づいて判断すべきと主張しています。



(2021年4月23日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)

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