住職に“なりすまし”法要行いお布施など得たか 1億円の賠償求め寺が提訴
大阪府にある寺が別の寺の僧侶を相手に1億円の損害賠償を請求する民事訴訟を起こしました。被害にあった寺は、被告の僧侶が“住職になりすまし”門徒の法要などを行い、お布施などを不正に得たと主張しています。
◇
被害にあったと主張するのは、大阪府東大阪市の寺「西方寺」です。
「西方寺」責任役員 井尻雄二郎さん
「非常に憤りは感じました」
役員の井尻さんが被害を受けたというのが…
「西方寺」責任役員 井尻雄二郎さん
「仮に“Aさん”、その“Aさん”が“なりすまして”法要なり葬儀を行っている」
“Aさんという人物”が「西方寺」の住職になりすまし、「西方寺」の門徒からお布施をだまし取ったというのです。
ことの発端は去年11月に門徒からかかってきた電話です。
門徒
「妻が死去しまして…。以前から法要を依頼している住職さんに通夜の読経と本葬をお願いしたいんですが」
「西方寺」責任役員 井尻雄二郎さん
「いや、今うちに住職はいませんが?」
西方寺の初代住職と跡を継いだ初代のおいもすでに亡くなっていて、当時、住職は存在しなかったといいます。不審に思った井尻さんが門徒の自宅を訪ねると…
門徒
「数年前から西方寺の住職を名乗る人に月命日の法要を依頼したり、法名をつけてもらったりしておりました」
そこで井尻さんは門徒の自宅前で通夜の読経をしに来るという“西方寺の住職”を名乗るAさんを待つことに。すると…
「西方寺」責任役員 井尻雄二郎さん
「(西方寺の名前を)勝手に使わないでください! 法要したり法名付けたり…」
“Aさん”
「私…これから弁護士ちゃんとついてやってもらいますんで」
「西方寺」責任役員 井尻雄二郎さん
「檀家(だんか)さんに、門徒さんに申し訳ないと思いませんか? あなた僧侶でしょ!」
その後、西方寺側はAさんを相手取り民事訴訟を提訴。別の寺の僧侶だった“Aさん”が10年以上、西方寺の住職になりすまし法要などを請け負いお布施などを不正に得たとして、約1億円の損害賠償を請求しました。
訴状によると、被告のAさんの父は西方寺に所属する僧侶で、父とともに寺の業務を行っていたというAさん。
父の死後は父から引き継いだ「門徒名簿」を使ってカレンダーを門徒に配布。そこにはAさんの自宅の電話番号が寺の電話番号として記載されていました。
被告のAさんを直撃すると…
──反論はするという事でよろしいですか?
“Aさん”
「そうです」
──あらためて門徒さんにむけて一言ございますでしょうか?
“Aさん”
「すいません、もう全て代理人弁護士にお答えしてますので」
“Aさん”の代理人弁護士は…
“Aさん”の代理人 安田善紀弁護士
「事実状態を見た時には、紛れもなく西方寺を維持していたのは被告(“Aさん”)らということができるのでは。果たして損害を被告(“Aさん”)らが原告(西方寺側)に与えたと言い切れるのか、私個人としてもはなはだ疑問」
また、Aさんは自身が住職として活動する根拠をこう語ったといいます。
“Aさん”
「おじいさんの遺言なんですよ」
「西方寺」責任役員 井尻雄二郎さん
「遺言なんてありません、そんなこと書いてないです」
西方寺の初代住職からAさんに宛てられたという「遺言書」。その内容について、“Aさん”の弁護士は…
――なにか書面は存在する?
“Aさん”の代理人 安田善紀弁護士
「はい、存在します。先代住職が作成された遺言書ということになる。条件付きで“Aさん”に住職を継承させる(という内容)」
Aさん側は「実質的に“Aさん”と“Aさん”の父が西方寺の面倒をみて門徒を維持した」と主張し、全面的に争う姿勢です。
西方寺側は…
「西方寺」責任役員 井尻雄二郎さん
「今は西方寺をいかに普通のお寺に戻すか、その一念でしかない」
来年以降も続く予定だという今回の民事裁判。西方寺側は刑事告訴も検討中だということです。