「解除」シナリオ分析…経済損失と死者数は
今回の緊急事態宣言は5月11日が期限ですが、予定通り解除された場合は再発出を招くという見通しが、最新の分析で示されました。どのタイミングで解除するかによって、宣言の有無や、死者数・経済損失に大きな違いをもたらします。政府の出口戦略は―。
■期限で解除なら…また「宣言」
有働由美子キャスター
「3度目の緊急事態宣言ですが、期限の5月11日で解除すると、また宣言が出るという最新の分析が示されました。東京大学大学院の仲田准教授と藤井特任講師が、東京の新規感染者数の推移をシミュレーションしました」
東京オリンピックが7月23日に、パラリンピックは8月24日にそれぞれ開幕します。それらの時期に再び緊急事態宣言が発出されているかどうかが気になるところですが、シミュレーションのグラフで考えました。
有働キャスター
「このグラフを見ると、宣言が期限を迎える5月2週目に新規感染者数は500人を切る見通しですが、ここで解除すると大きなリバウンドの山が来て、オリンピック前の7月第2週に1500人を超えて1542人となり、4度目の緊急事態宣言が出る予測。さらに12月下旬にも1344人という大きな山が来ますが、このころにはワクチン接種などの影響もあって、宣言までには至らないという見立てです」
■「250人」でも宣言 「100人」は…
有働キャスター
「一方、5月で解除せずに6月2週目までひと踏ん張りして、250人以下で解除すれば、リバウンドの山は1度で済みますが、パラリンピック後の9月ごろに1283人まで増え、4度目の緊急事態宣言が出る予測です。緊急事態宣言を避けるためのシナリオは、7月4週目に100人以下で解除するというもの。伸びは緩やかになり、4度目はないということです」
「このシミュレーションは、去年5月に『人との接触8割減』と言われていた時と同等に経済活動を制限した前提で試算したもの。100人まで下がってから解除となると、お店の方々には苦しい状況になります」
■「100人」の経済損失 3兆円超
小野高弘・日本テレビ解説委員/国際部デスク
「100人まで下がって解除した場合、3兆540億円の経済損失が見込まれています。一方、500人だと2兆6615億円で、早く解除した分、低く抑えられるという試算です。ただ、亡くなる方は『100人で解除』だと2768人、『500人で解除』なら3655人と、東京だけで約900人もの差がでます」
有働キャスター
「政府の出口戦略はどうでしょうか?」
小野デスク
「500人以下で解除しようと考えています。26日も政府関係者は『強い薬は長期間飲めない。緊急事態宣言は短期集中でやる。でないと経済に影響がでる』と言いました。政府内にも『2週間では足りない』という意見がありますが、自粛疲れを意識して『短期集中』というメッセージを出すので精一杯です」
有働キャスター
「もうこれで3度目の宣言になるわけですが、いつ解除するか、期限のことばかりで、『ここまで減らす』という具体的な出口戦略は相変わらず示されていません。オリンピックはやる、というのであれば、どこまで頑張ればいいのかという目標は、やはり必要ではないかと思います」
(4月26日『news zero』より)