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中ちゃんの憂鬱 コロナ禍の鉄板焼き店

2021年6月11日 16:52
中ちゃんの憂鬱 コロナ禍の鉄板焼き店

広島名物お好み焼きは、焼きたてが一番おいしい。

「テイクアウトでしのいで下さい言われても、テイクアウトでしのげるようなモノじゃない」「フタした瞬間、おいしくなくなるもんね」

鉄板焼きの店「中ちゃん」。いつもお客さんで賑わっていましたが、いまは、憂鬱です。中ちゃんの店長、宇高弘幸さんです。

宇高さん「保てんですよ、こんなんじゃ。どうしたらええ?」「ねえ、政治家さんなんかはね、給料が全然、ゼロになるいうことはまずないんで、僕なんかゼロですよ!いま」

中ちゃんがあるのは、中国・四国地方で最大の歓楽街「流川」。

宇高さん「それでも人がおらん、全く。(まだ)8時なのに。もうでも最近これに慣れてしまって」

12月、コロナ感染が再拡大。広島県は酒類を提供する飲食店に一時解除していた休業・時短要請を再び出しました。

宇高さん「最悪ですね。誰も通ってないじゃないですか」「こんな師走は初めての経験で、いやあ、恐ろしい世の中になりました」

中ちゃんが創業したのは1970年。宇高さんは、先代から、この中ちゃんを引き継ぎました。

ディレクター「どれが宇高さんですか?」

宇高さん「この上半身だけ、顔が写ってないのが、これが僕。これが先代。なんか(先代に)言われよるんでしょう。いや、怒られたことないですからね」「もともと先代の店に食べに行きよってですね。でまあ、仲良くなって」「先代の料理も見よう見まねで、向こう(自分の店)で出しよったんです」「10年前の今頃ちょうど『潰れてもええけぇ(一緒に)やってくれ』って言われたんで」「お店リニューアルして半年後に亡くなっちゃったんですよね」「肝臓がんで」

先代の味を守る店は全国からファンがやってくるほど繁盛していましたが…、売り上げはコロナ禍になる前の2割ほど。救いは店にきてくれる数少ないお客さん。

女性客「潰れてほしくはないので、私は通ってお金を使うだけでしか、ちょっと応援はできないんですけど、頑張ってほしいです」

男性客「やっぱ鉄板はいいっすね。デリバリーだとカリカリ感っていうのがないから」

この店で1番継承したい味は?

宇高さん「ウニクレソンですね。先代の時もずっとやられていましたからね。昔から」

本来かき入れどきの年末年始、中ちゃんは休業することに。

宇高さん「完全休業に入ります。初めての経験です」

コロナ禍で迎えた2度目の春。時短要請がなくなり通常営業に戻った中ちゃん。

ディレクター「全盛期の金曜日と比べていかがですか?」

宇高さん「半分くらいですよ」「コロナが増えよるじゃないですか大阪とかで。広島は増えてないけど、そのうち増えるでしょ。明るい未来はないですわ」

中ちゃんは憂鬱です。

2021年4月放送NNNドキュメント’21「中ちゃんの憂鬱 広島・コロナ禍の鉄板焼き店」(広島テレビ制作)を再編集しました。

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