なぜ駅内に巣が? ツバメの子育て盛んに
ツバメは春になると日本のはるか南からわたってきて、民家や商店の軒先などに巣作りし、子育てをします。駅の構内などで巣作りをするツバメも多く見られますが、なぜツバメは人の目につくところに巣を作るのでしょうか?
小田急線とJR南武線が交わる神奈川県川崎市の登戸駅には、複数のツバメの巣があり、この時期はヒナにエサを運ぶ親ツバメの姿が多く見られます。野鳥はなるべく人の目につかないところで巣を作るイメージがありますが、ツバメはなぜ目立つところに巣を作るのでしょうか。
NPO法人バードリサーチ研究員・神山和夫さんによると、ツバメは、カラスやヘビ、猫などの天敵が近づきにくいことから、人通りの多い場所に巣を作る習性があるということです。
また、ツバメのエサになるハエやハチなどの飛翔性昆虫は河川で発生することが多いことからも、多摩川に近い登戸駅はツバメが巣を作るのに適しているようです。
■ツバメは2回卵を産む?
ツバメは4月から7月にかけて繁殖し、その多くは2回卵を産み、子育てをします。その場合、同じ巣を続けて使うことが多いので、一度巣立ちが終わったからといって、すぐに巣を撤去すると、再び同じ場所に巣を作ることがあります。巣の撤去は2回目の子育てが終わり、再び南に飛び立つ時期まで待ったほうがいいようです。
■かわいそうでもヒナを保護しないで!
また、神山さんによると「地面でパタパタ羽ばたいて少し飛べるくらいのヒナは巣立ったヒナなので、つい手を差しのべたくなりますが、連れ去らないでほしい。親ツバメが近くにいてエサを与えているので心配はない。もし交通が激しい場所にいたら、少し脇へ移動させてあげるくらいは大丈夫」だということです。
NPO法人バードリサーチでは、鳥と人との共存を目指し、2013年から鉄道の駅や道の駅、サービスエリアなど人とツバメが多い交通施設に、段ボール製のフンよけを無料配布する活動をしています。フンが落ちないようにすれば、ツバメと人間のトラブルも減り、共存することができます。
ツバメは今まさに子育ての真っ最中。巣を見上げて、人間の近くで営みを続ける姿を観察してみてはどうでしょう。