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コロナ禍に振り回されて…都内の居酒屋は?

2021年7月17日 18:38
コロナ禍に振り回されて…都内の居酒屋は?

今週から、東京都は4回目の緊急事態宣言の期間に入りました。この1年ほど、酒を提供する飲食店へは休業要請が繰り返されてきました。コロナ禍に振り回される飲食店に密着しました。

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先月、都内の1軒の居酒屋は、店自慢のもつ焼きを求めるお客さんでにぎわっていました。

経営者の中沢金也さん・恵美子さん夫婦。夫の金也さんが18年前、脱サラをして開いた店ですが、この日、およそ2か月ぶりの営業となりました。中沢さんの店もコロナに翻弄されてきました。

4月下旬、東京は3度目の緊急事態宣言に。これまでも国や都の要請には応じてきた中沢さん。今回も休業を決めました。

中沢金也さん(68)「命綱です」

宣言期間中の売り上げはなくなり、頼みの綱は協力金です。しかし、中沢さん。少し後ろめたさも感じていました。

中沢金也さん「結局さ俺たちはもらって良かったと思うけど(財源は)税金じゃん、若い人たち中心の税金じゃん。そういうのではちょっと心苦しいよ」

    ◇

それでも営業再開に向け、できることをひとつずつ進めることにしました。

中沢金也さん「はい、おー、はいはい」

電話の声「取れました、ひとつ」

中沢金也さん「すげー、どうやって取ったの?」

一度は失敗したワクチン予約。店の常連客が手助けしてくれたのです。営業再開に向け、大きな安心につながります。

しかし…。緊急事態宣言は延長されました。

中沢金也さん「(飲食店の休業要請は)継続だよ。あとは緩和」

中沢恵美子さん(70)「飲食店はそのまんま?今月いっぱい?」

中沢金也さん「5月31日になってもさ、例えば患者数が減らないとするじゃん、開けてもいいですよっつったらお前どうすんの?」

中沢恵美子さん「やっぱし少し数字(感染者数)が下がんないと怖いよね」

気力・体力への不安は日増しに募ります。休業も2か月におよびました。そして。

――菅首相「要件を満たす店舗では、19時まで提供できることとします」

中沢金也さん「もうそういう(再開に向けた)モードに入ってきた」

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期待と落胆を繰り返しましたが、2か月ぶりの開店の日…。

中沢金也さん「炭をこうやってあれ(火起こし)すんのがさ、やっぱりスイッチオンだよ」

減らした座席は瞬く間に埋まります。そして、ワクチン予約を助けた常連客も。

中沢恵美子さん「今日はだからやっぱうれしいんじゃない?(Q.見てわかりますか?)わかります。やっぱね、口数が多くなってきた。熊ちゃん(常連客)がよく知ってる」

営業を終え…。

中沢金也さん「今日くたびれてるけど楽しかった。やっぱホッとしたね、お客さんがさ来てくれたからね」

中沢恵美子さん「2か月離れてたら、あーやっぱ働くって社会とつながってるってすごい大事だなって」

しかし、店を開けられたのはわずか3週間でした。あの日、中沢さんは―。

中沢金也さん「目が変わってくるよ仕事をしてると。80・90歳で働いてる、働けてる人が勝ち組よ。俺はそう思う、最近ね」

まだまだ社会とつながっていたいという中沢さん。一日も早い感染の収束を願っています。