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全国最多9500人超…「重症は瀕死です」

2021年7月29日 0:52
全国最多9500人超…「重症は瀕死です」

東京の新型コロナウイルス感染者が初めて3000人を超えるなど、1都3県で過去最多となりました。この3県にも緊急事態宣言が拡大される方向に。一方、現場の医師は、医療現場と一般の人たちとの認識に「ギャップ」があると指摘します。

■東京で初の感染者3000人超も「ピンと来ない…」

初めて3000人を超えた東京の感染者。

ホテル業(20代)「いまいち数字が大きすぎてピンと来ないってのは感じてます」

会社員(20代)「今や『3密』っていう言葉も死語になってんじゃないかなくらい」

会社員(20代)「私自身、休みはサウナ行くので、全体的に意識は、最初に緊急事態宣言出されたときより圧倒的に(意識が)低い」

直近7日間の感染者数の平均は1954.7人で、前の週の153%に。新たに、50代から90代まで6人の死亡も確認されました。

28日、全国で9500人以上の感染者が確認されました。感染の急拡大が止まらない状況に、この日の夜、厚労省アドバイザリーボードの脇田座長は──

脇田座長「(全国的に)これまでに経験したことがない感染拡大という評価。連休による影響がありますので、今後さらに報告者数が上積みされる可能性もある」

──宣言の効果について

脇田座長「宣言発出してから2週間経過しているが、その効果が出ているとは言いがたい。人流減少しているのは確かにあるが、前回の緊急事態宣言の減少と比べると、まだ到底そこには及ばない」

人出の減少スピードが遅いため、今後も感染者数がなかなか減らない危機的な状況にあると指摘。また会議では、だいたいいまのペースで感染者数の増加が続くと、およそ1か月後には都内の一日の新規感染者数が1万人を超えるとの新たなシミュレーションも示されました。

記者「総理、東京都で3000人、全国で8000人を超える感染者が確認されました。どう対応しますか?」

記者「国民にメッセージを出す必要はお感じになりませんか?」

菅総理は無言のまま官邸を後にしました。一方、東京の小池知事は。

──感染者数3000人という報道もありますが?

小池知事「皆様方にはぜひ不要不急の外出を控えてください。(東京商工会議所に)テレワークの徹底をお願いしました。このように皆さんのお力を得て抑えこんでいきたいと思います」

さらなる問いかけには答えませんでした。

「第5波」は東京の周辺でも。神奈川県では1051人と初めて4桁となったほか、埼玉県では870人、千葉県では577人といずれも過去最多となりました。


■“感染激増状態”3県が緊急事態宣言を要請へ

神奈川・黒岩知事「きのう700人ってだけでも驚いたんですが、一気に1000人(台に)。感染激増状態に入っていることが改めて確認できてしまったわけでして、大変大きな衝撃を受けております」

千葉・熊谷知事「千葉県の感染状況は非常に急激な増加傾向が続いております。東京やその周辺の地域を見ても、いよいよ危機的水準に達しつつあると考えておりますので」

29日、神奈川・千葉・埼玉の3県でそろって国に対して緊急事態宣言を要請する方針に。政府は、30日にも宣言の発出を決定する方向で検討しています。

また、あわせて大阪に緊急事態宣言を発出することや、北海道にまん延防止等重点措置を適用することも検討していて、感染状況などを見ながら慎重に判断する方針です。


■医療現場と一般の人たちの認識に「ギャップ」

28日午後、政府分科会の尾身茂会長が訴えたのは、医療体制に対する専門家の危機感です。

尾身会長「実は医療のひっ迫というものがすでに起こり始めているというのが我々の認識であります」

入院患者や重症者の数が増えていること以外にも──

尾身会長「入院調整をする人が増えている。宿泊療養をしている人が増えている。自宅で療養している人も急増しているんですね。一般の人々にまだ十分にその危機感が伝わってない」

埼玉県内の『埼玉医科大学総合医療センター』では、28日、集中治療室で人工呼吸器をつけた患者の治療が行われていました。

 「こちらが今入院している患者さんで、42歳、56歳、46歳、ほとんどが40~60代の患者さんです」

治療にあたる医師の岡秀昭教授は──

岡秀昭教授「一部楽観論としては、重症者が少ない、高齢者がワクチン接種を終えているから大丈夫という意見がありますが、現場の感覚はそうではありません」

医療現場と一般の人たちとの認識に「ギャップ」があると指摘します。

岡秀昭教授「重症は瀕死(ひんし)、海外でいうとクリティカル。一般の方は重い肺炎があるのを重症だと思っている。だから一段階か二段階ずれている」

岡教授によると、「重い肺炎」と思われがちな重症とは、実際には、自力での呼吸ができず人工呼吸器が必要な状態で、その手前の「中等症」についても、高熱や呼吸不全などの重い症状があり、現場では大きな負担に。そのため、重症者の数だけを見て判断することは、医療現場のひっ迫状況を見誤る可能性があるといいます。

岡秀昭教授「私が管轄している内科で使える中等症・重症の病床数は23です。その病床が本日の段階で20床、埋まっています。第3波のときは(緊急事態)宣言が効いてきて患者が減っていった。これから増えてくるんですよね、そこに正直、絶望感がある」

感染のピークが見えない現状に、政府分科会のメンバーは──

政府分科会・舘田一博教授「飲食やお酒を抑えることに集中しているが、それをより広い範囲で、商業施設を含めて営業の自粛等々を考えていくなり、より強いメッセージを発していく必要も考えていかなければいけない」


(7月28日『news zero』より)