10代以下子供の感染急増 どうなる新学期
全国的に新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、10代以下の子供が感染するケースが急増しています。夏休みが明ける新学期をどう迎えるべきか、どんなことに気をつけるべきか、解説します。
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■年齢に関係なく猛威ふるうデルタ株
東京では19日、5534人の新型コロナウイルス感染が確認されました。過去2番目に多い人数です。深刻な感染拡大が続く中、今、10代以下の子供の感染も急増しています。
東京都の10代以下の感染者数を週ごとに示したグラフでは、先月22日までの1週間は1147人でしたが、19日までの1週間は4846人。この1か月でおよそ4倍になっていることがわかります。そして、19日だけでも10代以下の感染は856人確認されました。感染力が強いデルタ株が年齢に関係なく猛威をふるっているということがわかります。
■子供たちはどこで感染?
では、子供たちはどういった場所で感染しているのか?19日に確認された事例だと、10歳未満の男の子が今月10日、家族の友人の家で食事をして、のちに友人が感染していたことがわかり男の子にも感染したということです。
そして、19日、確認された856人のうち保育園・幼稚園で感染した子供が31人いました。現状は家庭内での感染が多いですが、厚労省の専門家会議では子供同士の感染も注意が必要で「10代以下の感染対策は今後非常に大事になってくる」「特に12歳未満はワクチンを打てないので十分対策する必要がある」という議論がありました。
■学校が再開に不安も…再び一斉休校は?
全国各地で新規感染者数の過去最多を更新しているような状況で、学校が再開するのは不安な面もあります。では、去年のような学校の一斉休校はあるのか…?20日、文科省の萩生田大臣は次のように述べました。
萩生田文科相「緊急事態宣言が出ている地域、まん延防止が出ている地域、出てない地域があるわけですから、学校も同じように地域の事情に合わせて判断を変えていくということで、国としての一斉休校は行わない」
学校は子供たちの心身を成長させる重要な場所であるとし、国として一斉休校は行わないとしました。ただ、地域の感染状況に応じて学校設置者が慎重に判断すべきと述べました。
一方で「感染症対策の警戒度を格段に高める必要がある」として、合唱など対策をしても感染リスクの高い活動の見直しや小中学校にも検査キットを配備して、例えば保健室で熱がある子供に検査を行うといった環境を整えたいと話していました。
■“臨時休校”を判断した自治体も
こうした中、臨時休校の判断をした自治体もあります。神奈川県相模原市は市立小中学校など106校について始業式を1週間遅らせると発表しました。
相模原市では市内の小中学生の1日あたりの感染者数を平均すると夏休み前の1学期は0.9人だったのに対し、夏休み期間は5.6人とおよそ6倍にまで増えていました。さらにお盆などの影響で、8月後半に感染者が増える可能性があることから臨時休校を決めたそうです。
■医師「8月を過ぎて“子供感染増”の実感ある」
では実際、子供の診療を行っている医師は現状をどのように受け止めているのか、都内にある小児クリニックの時田院長は「8月を過ぎてから子供の感染が増えてきている実感がある」と話していて、今月、感染がわかった子供の年齢はみんな8歳以下で中には、10か月の赤ちゃんもいたそうです。
さらに以前、感染した子について、「ママ友のランチ会が問題だった。消毒や黙食など小・中学校は感染対策をしている。逆に大人の方が見習ってほしい」と話していました。
■感染防止に「不織布のマスク」着用徹底を
では、夏休み明けに子供の感染防止のために気をつけるべき点は何か。千葉大学病院の岡田特任助教に聞きました。
中学生以上など一定の年齢以上なら防御力の高い不織布のマスクの着用を徹底してほしいということです。そして症状があったら迷わず学校を休むこと、必要なら検査も受けてほしいということです。
そして、小学生やそれ以下の幼い子供の場合は、大切なのは本人たちの感染対策以上に、周りの大人がしっかりと予防行動をするということです。具体的には可能な限りワクチン接種をすること、マスクをはずしてしゃべる機会を徹底的に減らすこと、子供と接触する教師や親は特に自らが感染対策を徹底することで、子供を感染から守ってほしいと話していました。
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子供の感染が急増しているとはいえ、重症化するケースは非常に少なく、過度に心配したり不安になったりする必要はありません。ただ、症状が出ていたり、いつもと調子が違うと思った時には無理をせず、お子さんのためにも周りのためにも休ませることが大切です。
(2021年8月20日午後4時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)