ECMO引く手あまた…緊急チーム派遣も
新型コロナウイルスの重症患者が全国でも都内でも最多となる中、人工肺「ECMO」が必要になる場面が増えています。都内の病院では、対応しきれず緊急チームに出動を依頼。ECMOを装着して搬送できる特殊車両の出動も、都内では日常的になっています。
■中等症向け病院で「重症者」対応
東京・八王子市の東海大学医学部付属八王子病院では、重症化した40代の男性患者に人工肺「ECMO」が装着されていました。ECMOは、特に肺炎が悪化した患者に使われます。
この病院は本来、中等症の患者を受け入れていますが、重症患者にも対応せざるを得ない状況になっていました。
別の40代男性患者は、1週間、自宅療養をした後、入院しました。基礎疾患はありませんでしたが、息苦しさで3日間眠れないほどになり、人工呼吸器をつけることになりました。
医師が「じゃあ頑張りましょうね。ゆっくり大きく深呼吸してください」と促しました。この時、ECMOが必要だと判断されましたが、この病院では対応しきれませんでした。対応できる別の病院も、すでに満床でした。
■全国の医師ら「専門チーム」出動
そこでこの病院は、重症患者の電話相談やECMO患者の搬送、治療への参加などを行うNPO法人「ECMOnet」の「緊急ECMOチーム」に初めて依頼しました。
チームはECMOや人工呼吸に精通した医師らで構成され、全国から交代制でスタッフを派遣しています。
今回は、医師や臨床工学技士ら8人がこの病院に駆けつけました。主治医がパソコンの画面を示して「自宅で酸素飽和度86%ということで搬送されていて…」と説明し、情報を共有しました。
多くの人手がかかる上に、装着や管理が非常に難しいECMO。装着は約1時間で完了しました。
■装着のまま搬送「ECMOカー」
男性患者は、ECMOをつけたまま患者を運べる「ECMOカー」で、別の病院へ搬送されました。限られた病床に的確に患者を送る取り組みで、こうしたECMOカーの出動は、都内では最近、毎日あるといいます。
(8月27日『news zero』より)