×

「キキクル」で自宅周辺の危険度チェックを

2021年10月7日 19:17
「キキクル」で自宅周辺の危険度チェックを

台風や前線による大雨に油断ができない季節がまだまだ続きます。土砂災害や川の氾濫で命を落とさないために、自治体の避難情報の確認とともにHPで見ることができる「キキクル」をチェックして早めの避難判断を。(社会部災害担当・小林克之進)

▼今年から名称が変わった5段階の避難情報

大雨などの際に自治体が発表する5段階の警戒レベル・避難情報、今年から名称が変わっています。レベル3の「避難準備・高齢者等避難開始」は「高齢者等避難」に。レベル4は、これまでの「避難勧告」と「避難指示」が2つあったが「避難指示」に一本化されました。レベル5は「災害発生情報」という名称でしたが、「緊急安全確保」という名前に変わりました。

名称は変わったが、私たちはレベル5の「災害発生情報」が出るのを待たずに「避難指示」のタイミングまでに安全な場所に避難をすることが大切です。

▼避難情報はどのように出されるの?

避難情報は、市区町村などの自治体が地域の防災計画などに基づき、その時の状況に応じて出します。

気象現象については、気象庁などが出す防災気象情報も避難情報の発表基準としています。

防災気象情報とは、災害発生の危険が高まった時に出される大雨警報や暴風警報、土砂災害警戒情報などがそれにあたります。さらに、大きな川が氾濫する危険が高くなったときに国土交通省などが出す「指定河川洪水予報」もあります。

ただ、こうした防災気象情報はたくさんの種類があって分かりにくいため、いざというときこうした情報が出されても、その内容に合わせてすぐに適切な行動をとるのは簡単ではありません。

そこで今回は、知っていると避難を判断する目安となる防災ツールの使い方を紹介します。

▼気象庁「キキクル」を活用しよう

気象庁のホームページのトップ画面に「キキクル」の入り口があります。押してみると、雨雲の動きだけでなく土砂や浸水、洪水の危険度をリアルタイムで見ることができます。ホームページだけでなくスマホでも簡単に見られます。

実際の画面では、自宅周辺の位置関係が分かるくらい拡大して細かく表示することができます。道路や鉄道など、目印となる細かい表示もできます。

みなさんもご家族やご友人と操作してみてください。

▼「キキクル」はどのような画面で表示される?

「キキクル」では、災害発生の危険度を5段階に色分けして表示していています。8月、九州北部で豪雨となった時の土砂災害の危険度を表したものでは、長崎や佐賀県を中心に濃い紫色の表示となっていて、その周辺は赤や黄色に。濃い紫ほど土砂災害の危険度が高くなっていることを示しています。

一方、川の洪水危険度を示した図では、大きな川はもちろん、家のすぐそばを流れているような小さな川も表示されています。氾濫などの危険度が高いほど赤色から紫色へと変わります。

▼過去の豪雨災害では「キキクル」はどのように変化?防犯カメラがとらえたのは…

3年前の大雨時に、広島市安芸区を流れる矢野川のキキクルと近くにある商店の防犯カメラの画像を比べると、「キキクル」では、矢野川の危険度は上から3番目の「赤」、商店の前の道路は雨で若干ぬれている程度の状態。

しかし1時間後、キキクルの、色はうすい紫色、「非常に危険」となります。すると道路の画像では、濁った水が道路を流れているのが分かります。

さらに1時間たった午後8時半、キキクルの色は「極めて危険」な状態を示す濃い紫色に変わりました。この時の商店の前は大量の土石流が流れ、車が何台も押し流されていました。

▼短時間で状況は急激に悪化 「キキクル」活用して早めの避難を!

「キキクル」で濃い紫の表示がされた場合、必ずこうした事態になるとは限らないが、避難が難しい状況になる可能性が高くなります。

自治体が避難情報を出した段階で「キキクル」などをこまめに確認しておけば、こうなる前に避難することは十分に可能。「キキクル」を活用して自分が晒されているリスクを自ら確認して、必ずしも「避難指示」を待たなくても、危険を早い段階で避難所など安全な場所へ避難してほしい。