コロナ禍で大人に伝えたい事 子どもの本音
子どもへの新型コロナウイルスワクチン接種に向けた準備が進められる中、長引くコロナ禍が子どもたちの心にどんな影響を及ぼしているのかを調べた調査結果が発表されました。子どもたちが今、最も大人に伝えたいこととは何か、詳しく解説します。
最新の感染状況について、17日は全国で新たに204人の感染が確認され、過去最多となった8月20日の2万5990人から、およそ3か月で、100分の1まで減りました。
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■4割弱“学校に行きたくない”…理由は?
コロナ禍の生活が長引く中で子どもたちがどのような気持ちで過ごしているのか、国立成育医療研究センターが全国の高校生以下の子どもと保護者あわせておよそ7000人を対象にアンケートを行いました。
調査した時期は、感染が急拡大した第5波にあたることし9月で、コロナ禍での学校生活をどう考えているかなどを聞いています。
小学校から高校までの子どもに対して「最近1週間、学校に行きたくないことがありましたか」という質問を行ったところ「いつも」「たいてい」「ときどき行きたくない」ことがあると答えた子どもは合わせて全体の38%でした。
行きたくない理由は「教室が密だから」「人との距離が近い。換気されていないと気持ちが悪い」と、コロナの感染が怖いと答えた子どもがいました。
ほかにも「誰かと会話するのが怖くなった」「コロナで友達づくりができない」と、対人関係を理由とするものもありました。
さらに、「コロナで、校庭で遊ぶことが少なくなった」「部活・行事がない。静かな給食がつらい」と、学校生活がつまらないという意見もありました。
続いて子どもを対象としたワクチン接種について、現在、ファイザー製のワクチンは12歳以上が対象となっていますが、厚生労働省は、早ければ来年2月に5歳から11歳の子どもの接種を始める可能性があるとして、自治体に準備するよう通知を出しました。
今回のアンケートでも、小学生がワクチンを受けられるようになったら、すぐに受けたいかどうかを聞いています。
結果は、小学生のおよそ55%が「とても受けたい」または「どちらかというと受けたい」で、38%は「全く受けたくない」「どちらかというと受けたくない」という答えでした。
受けたい理由は、「自分も周りも安心できる」「痛いのは嫌だけどコロナが早く終わってほしい」「おばあちゃんに会える」というものでした。
一方、受けたくない理由の中には、「(注射は)痛い」と注射を嫌がる子どもらしい答えや、「パパとママが、熱が出たり腕が痛いと言っていた」と、副反応を心配する答えもありました。
■「大人はどうして…」子どもたちの本音は?
次に、子どもたちの心の状態について、あてはまるものを複数回答で聞いたところ、「コロナのことを考えると嫌な気持ちになる」を選んだ子どもは38%、「すぐにイライラする」は28%、「最近集中できない」は26%でした。1つ以上のストレス反応を選択した子どもは全体の70%に上りました。
我慢の状況が続いたので、このような結果になったかと思いますが、親御さんとしても心配になります。実際に「子どもの様子で気になること」について聞くと、保護者からは次のような声が聞かれます。
4歳男児の保護者
「我慢ばかりでストレス発散ができずイライラしている」
小学3年生男児の保護者
「友達と遊べなくて寂しく感じるのか『ギュッと抱きしめて』という頻度が増した」
5歳男児の保護者
「『どうせコロナでできないもんね』と諦めるようになった」
3歳女児の保護者
「マスクで人の顔を覚えられない。表情がわからない」
親としてもどう受け止め、声をかけたらいいのか悩ましいという意見もありました。
続いて、子どもに「大人に伝えたいことは何か」も聞き、次のような声がありました。
小学6年生の女児
「大人はワクチンを打って気が緩んでいる人が多い。小さい子どもはワクチン打てず、家庭で感染する可能性もあるから、もっと気を引き締めるべき」
小学4年生の女児
「子どもは給食もしゃべらないで我慢しているのに、大人はどうしてみんなでお酒が飲みたいの?我慢できないの?」
一方で、小学4年生の男児から「学校の先生がコロナ対策で大変。ありがとうと伝えたい」という感謝の言葉もありました。
■医師「今後1年ほどは終わらない問題」大人がすべきことは
調査を担当した国立成育医療研究センターの森崎菜穂医師は、「生活が抑制された状態が去年からずっと続いていることが子どもの心の状態に大きく影響している。コロナが落ち着いても今後1年ほどは終わらない問題」と分析しています。
その上で、親や教師など周りの大人たちがすべきこととして、「子どもは、自分の意見が反映されないと感じることがストレスになる。子どもの思考回路を理解し寄り添い、話したことが生かされると思えるように意見を引き出す」ことを挙げています。
さらに、「今の状態は、子どもの責任ではなく、社会として変えていくべきことだ、ということをきちんと伝えるべきだ」と指摘しています。
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コロナの長期的な影響は誰も経験したことがなく、予測もできないので、地道に子どもたちの声を吸い上げ反映していくことが大切と専門家は指摘しています。子どもの中には、つらくてもSOSを出せない子や頑張ってしまう子もいます。だからこそ、周りの大人が気づいて向き合って、理解していくことが第1歩として求められていると感じました。
(2021年11月18日午後4時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)