コロナ禍の若年層 自殺意識調査の結果発表
日本財団は、若年層、コロナ禍における自殺意識調査の結果を発表しました。
報告書では、15歳から19歳までの若い年代で、「本気で自殺したいと考えたことがある」と回答したのは、3人に1人にのぼることがわかりました。
■若年層、コロナ禍における自殺の実態調査
日本財団は31日、全国の15歳以上と1都3県の13~14歳の男女約2万人を対象とした、自殺に関する大規模意識調査の結果を公表しました。
今回は調査対象者を18歳から13歳まで引き下げ、若年層の自殺意識の把握をするとともに、2020年に10年間減少していた自殺者数が増加に転じたことを受け、コロナ禍における自殺の実態把握を目的としています。
■4人に1人「本気で自殺したいと考えたことがある」
調査結果では、4人に1人に当たる24.0%が「本気で自殺したいと考えたことがある」と回答し、そのうちの27.7%(全体の6.4%)が1年以内に自殺したいと考えたことがあると答えています。
要因は「家庭問題」が最多で、コロナ禍となった1年以内に絞ると、「健康問題」、「家庭問題」、「経済生活問題」が増加しています。
自殺未遂の経験者は6.2%で、そのうち29.4%(全体の2.1%)が1年以内に経験があるとしています。また、自殺を考えたり、自殺未遂の経験したことがあったりする人の7割は、誰にも相談しないという結果になりました。
■15歳~19歳では3人に1人が「自殺を考えたことがある」
また、15歳から19歳に限ると、3人に1人が「本気で自殺したいと考えたことがある」と回答しました。要因としては「学校問題」が最多で、コロナ禍となった1年以内に絞ると、「家庭問題」、「健康問題」が増加しています。
1年以内に自殺を考えたことがあると答えた人は、男性より女性が多く、特に17・18歳で多い結果となっています。
■コロナ禍におけるストレスが浮き彫りに
また今回の調査では、コロナ禍でのストレスが具体的に浮き彫りとなりました。1年以内に自殺を考えたことがあった層が、なかった層に比べて強く感じたストレスでは、「精神的健康問題(うつ病など)の症状悪化」、「同居する家族から感情的な暴言を吐かれること」、「経済的に苦しく、家賃や光熱水費、食費などの生活費が工面できないこと」、「就職/転職活動が困難であること」、などが多く、コロナ禍における外出自粛や経済への影響が如実に表れています。
15~19歳に限ると、「マスクを含めた感染対策をするかしないかを巡って、世の中の意見が分かれていること」についてや、「新型コロナに感染したときの周囲からの反応」が特に強く感じていたストレスとなっています。
■若年層を注視 必要な支援を検討
また調査では、自殺に関するニュースや記事を見たあとに、自殺のことを考えることがある年代は、30歳以下が多く、自殺に関する報道に影響を受けやすい傾向にあるとしています。
日本財団は、今後も調査を継続するとしたうえで、10~20代の若年女性、中高校生世代の自殺の要因実態を行い、必要な支援を検討していくとしています。
写真:日本財団HPより