ウクライナ以外の難民へも目を向けるべき 専門家が訴え
ロシアによるウクライナ侵攻が始まりはや2か月。日本には避難民が来日し続けています。ビザや身元保証人の免除など、これまで難民等の受け入れに厳しい姿勢だった政府も、例を見ない支援策を打ち出しています。こうした中、日本外国特派員協会では、ほかの紛争地域から日本に逃れてきた人へも目を向けるべきだと専門家が訴えました。
会見をしたのは移民政策が専門で、国の難民審査参与員を務める千葉大学の小川玲子教授と、世界各地で難民の状態となった人々に教育の支援を行うNPO団体パスウェイズ・ジャパンの折居徳正代表理事です。
■アフガニスタン退去者の今─
去年8月にアフガニスタンではタリバンがカブールを制圧し、多くの人が国外に退去しました。
出入国在留管理庁(入管庁)によりますと、今年3月末までに日本には600人以上が避難し、また、帰ることができない人も大勢います。
■帰国したら迫害のおそれ94.5%─
「アフガニスタン退避者受け入れコンソーシアム」が、今年1月末から2月末まで、退去者や帰宅困難な元留学生など120人に行った調査によりますと、回答者の94.5%が、前政権での就業経験や日本(非イスラム国とのつながり)での留学経験があること、教育を受けている女性であることなどを理由に、帰国すれば迫害を受けるおそれがあると答えています。
また、国に残された家族や親族も身内が日本に居るということで、迫害される危険性が高いといいます。
■国から逃れてきたのは同じ、なのになぜ違うのか─
同じように紛争から逃れてきたウクライナ以外の出身者は、十分な支援を受けられず、昨今のウクライナからの避難民よりビザ取得のハードルは高く、身元保証人の免除はされず、さらに保証人への金銭的条件も非常に厳しいといいます。
■自分たちは忘れられている─
アフガニスタン人の支援にも尽力する小川教授は、ウクライナからの人々への特別な対応との差についての理由は説明し難いと指摘し、アフガニスタンの人たちは、「自分たちが忘れられている。なぜ私たちはここにいるのか」と絶望を感じていると述べました。
■私たちにできることは?
折居さんのNPOでは、日本での難民認定のハードルの高さから「留学・語学留学」という枠組みで来日することを支援しています。折居さんはこうした取り組みを、寄付などで支援してほしいと訴えました。
また、小川教授は、今のウクライナ避難民支援での官民の連携がいいモデルとなれば、ミャンマー、シリア、ロヒンギャ、アフガニスタンの出身者の難民認定につながるとして、日本の難民受け入れの姿勢が変化することへの期待を述べました。