拝啓 連也様 マスク越しの闘病20年
連也さん「ママ つらい」
多くのことを我慢して、生きてきた20年…。でも、いくつもの壁を乗り越え、挑戦してきた20年。
連也さん「こうやって人と出会わなかったら、いまの自分はいない」
菴連也さん。生まれたときから免疫力が弱く、高熱や関節痛などに、繰り返しおそわれました。
母・有紀子さんの日記から
「全身が痛みころげまわっているかのよう」
「連也を助けるかわりに私を殺してほしいとも思う」
告げられた病名は高IgD症候群という難病。4歳の頃から、だんだんと歩けなくなりました。
炎症を抑えるための、ステロイドの副作用で身長は小学生になっても80センチでした。
連也さん「痛い」
高熱、吐き気…体中をおそう激しい痛みに入退院を繰り返してきました。遊びたい盛りなのに…。
連也さん「僕も(川に)入りたい」
母「それちょっとまずくない?」
連也さん「足つけたい!」
思い切り遊べるのは…絵の中だけ。
母「病気良くなったらやりたいことは?」
連也さん「スポーツ」
6歳下の妹の運動会には、行きませんでした…。
連也さん「行きたくない。だってさ、みんなにジロジロ見られるんだもん」
この日は、年に数回の交流授業。特別支援学校に通う連也さんにとって大切な時間。
完全に治すことは難しい病。長年の治療で体調の良い日も増えてきました。
6年生の夏のこと。
母「足全体に力入れて。きたー!にいにい頑張ってるやろ?」
8年ぶりに自分の力で歩けました。以前は立って上れなかった階段も…。
連也さん「今までの僕はこんな感じ。今の僕はこんな感じ。全然、眺めが違う」
高校2年生になった連也さん。ステロイドを減らすことができ、身長が30センチ伸びました。高校卒業後は運転免許も取得。
連也さん「同じところに行って、同じ勉強を受けて、モニターにばーっと(番号が)出されたときは、健常と障害ってないな」
現在、就活中。夢は膨らみます。
連也さん「映像制作とか、そういう会社に就きたい。ドキドキわくわく」
3月、地元の成人式。連也さんも20歳になりました。
父「20歳まで生きられなかった子もいる。そういったことも聞かされていたので。『生きててくれてありがとう』と」
母「今まで大変なこととかつらいこととか、いっぱいあったんですけど。人とのつながりとか大切にしてほしいし」
『人とのつながりを大切にしてほしい…』そんな願いが込められた『連也』という名前。
連也さん「一期一会っていう言葉があるように、人と出会わなかったらたぶんこうはなっていなかったと思う。というのは毎日思います」
これからも、自分らしく、明るく前向きに。
2021年11月28日放送NNNドキュメント『背景連也様
~マスク越しの闘病20年~』を再編集しました。