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神田沙也加さん追悼宮本亞門さん思い出語る

2021年12月20日 21:01
神田沙也加さん追悼宮本亞門さん思い出語る

■17才デビュー時 亞門さん「すごく明るい子。その裏に寂しがり屋でガラス細工のようなところがあった」

神田沙也加さんが初主演したミュージカル「イントゥ・ザ・ウッズ」(2004年)の演出を手掛けた宮本亞門さんが、「僕は全然、彼女が松田聖子さんと神田正輝さんの子供だとは知らなかった」と当時のオーディションの様子を明かしました。

宮本亞門さん
「彼女が2、30人の中で一番良かった。彼女が持っている声はすごいし、ストーリーの展開に合わせて変わっていく表情も見事だった。稽古が始まる時に、彼女が『私の両親が有名だからとったんじゃないですよね』と聞いてきた。とにかくあなたが本当に一番良かった。お願いだから信じてと言った。そうしたら少し微笑んで、『私、本物になりたいんです』『私はお母さんとは違う道を神田沙也加という一人の人間が、本気で生きていく姿をみんなに見てほしいです』と言っていました」

亞門さんは、ニューヨークで会った沙也加さんと一緒にセントラルパークを走ったエピソードとともに、「こんな娘がいたら最高だろうなと思った」と話しました。

また、「人に弱みを見せないぐらいの頑張り屋。すごく明るい子だけど、その裏に寂しがり屋でガラス細工のようなところがある。人の痛みも分かるので表情が生に見えるんだよね」と、沙也加さんの印象を語りました。

■小さな居酒屋でアルバイトをして「もっといろんな生活や人間観察をしたい」という

ミュージカル「イントゥ・ザ・ウッズ」の主役を務めてからしばらくして、亞門さんのところに、沙也加さんから連絡があったといいます。

――『ちょっと時間ができたから、アルバイトをしているんです』

「何?」と聞いたら、都内の小さな居酒屋で、お化粧も服もシンプルにしてウエートレスをやっていると。当時、沙也加さんが母親の松田聖子さんと一緒にCMにも出ていたので、亞門さんは「何で?見つかっちゃうじゃないか」と聞いたといいます。

すると、『私、本当に狭い世界でしか知らなかったことが分かった。もっといろんな人の生活や人間観察をしたいんです』と答え、お客さんに呼ばれたら、『はい、お待ち下さい。いらっしゃいませ。と言いながら、いいでしょ。こういうあたしも。めっちゃ勉強になるんですよ』と語ったといいます。

その時の表情を、亞門さんは「本当に嬉しそうだった」と振り返り、早すぎる死を悼みました。