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市中感染各地で“審議中”飲み薬は切り札?

2021年12月24日 18:23
市中感染各地で“審議中”飲み薬は切り札?

新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の市中感染が各地で相次いで報告される中、ついに東京でも確認されました。そして、現在、審議が行われている日本初の新型コロナの飲み薬についても、詳しく解説します。

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■“市中感染”各地で…ついに東京でも確認

24日、小池都知事は、オミクロン株と確認された1人が、市中感染とみられると発表しました。

東京都 小池知事
「オミクロン株の感染者が、4名判明したところであります。このうちの1人が、海外渡航歴がない、感染経路が不明、いわゆる市中感染とみられるわけであります」

この人は、都内のクリニックに勤める医師で、海外渡航歴はなく、感染経路も不明で、市中感染とみられるということです。

オミクロン株の市中感染は、首都圏では初めてとなります。

京都では、23日、1人のオミクロン株への市中感染が確認されていましたが、24日も新たに3人の市中感染が確認されました。

このうち、30代の女性2人は同じ職場の同僚ですが、23日の1人と24日わかった人たちには関連性はないということです。

そして大阪では、23日、新たに10歳未満の小学生の男の子がオミクロン株に感染したことが確認されました。

この男の子も海外渡航歴はなく、感染経路がわかっていないため、市中感染とみられます。

男の子の家族5人は、検査の結果、コロナ陰性でしたが、小学校のクラスメートの中から児童3人の陽性が判明しました。この3人がオミクロン株かどうか調べています。

大阪では、これまで、寝屋川市の小学校の教員の男性と妻、10歳未満の娘がオミクロン株に市中感染したことが確認されていました。

一家には、ほかに未就学児の子どもが2人いて、どちらもコロナ陽性とわかっていましたが、このうち1人が24日、新たにオミクロン株であることがわかりました。

この家族と23日わかった男児には、関係がないということです。

確実にわかっているのは、2か所で市中感染が発生しているということですが、吉村知事は府民に対して、「市中感染がある前提で対策をしてほしい」と呼びかけています。

■“審議中”コロナ専用飲み薬…飲める人に条件も

オミクロン株による感染再拡大が懸念される中、待ち望まれているのが、自宅でも服用できる薬の承認です。

24日、厚生労働省の専門家部会は、アメリカの製薬大手メルクなどが開発したコロナ専用の飲み薬「モルヌピラビル」について、国内での製造販売を承認するかどうかの審議を行っています。

午後6時過ぎにも結果が判明する見通しですが、もし承認されれば、国内初のコロナ専用の飲み薬となり、年内にも患者が服用できる見通しです。

誰でも飲めるわけではなく、いろいろな条件があります。

このモルヌピラビルは、アメリカやEU(=ヨーロッパ連合)では、一足早く、緊急使用が承認されました。

この薬は、新型コロナウイルスの遺伝子に働きかけて、ウイルスの増殖を抑えるもので、臨床試験の結果、入院や死亡のリスクを30%減少させることが確認されています。

対象者は、軽症から中等症の患者で、発症から5日以内、新型コロナと診断後、なるべく早く服用することが推奨されています。

アメリカでは、1回・4カプセルを12時間おきに5日間飲み続けるものだということです。臨床試験では、一部で下痢や吐き気などの副作用が報告されています。

FDA(=食品医薬品局)は、重症化リスクの高い18歳以上が対象としていて、骨の成長に影響を与える恐れがあるため、18歳未満の使用は認められていないです。

■“飲み薬”オミクロン株含むあらゆる変異株に効果?

気になるのは、オミクロン株にも効くかどうかです。

米メディアによると、この薬はウイルスそのものに働きかけて増殖を抑えるものなので、オミクロン株を含むあらゆる変異株にも効果があるとみられるといいます。

このモルヌピラビルが、コロナの治療薬として切り札となるのか、専門家に聞きました。

国際医療福祉大学成田病院・感染制御部部長の松本哲哉医師は「承認されれば、今後の重要なターニングポイントになる」と話しています。

入院・死亡のリスクが30%減少するという臨床試験の結果については、「ウイルスの感染力が減ることが、一定程度確認できている。つまり人に感染させるリスクが減らせるので、感染拡大を抑える意味でも価値がある」といいます。

ただ、発症後5日以内の服用が求められるので、迅速な検査が必要になります。また、陽性で自宅待機となった人に、この薬をどう届けるかなどの課題もあります。

年内だとあと1週間ですが、承認されたらすぐに使えるようになるのでしょうか。

日本政府は、すでに160万回分の確保で合意していて、岸田総理大臣は承認されたら「週末から全国に20万回分を配送し、来週から使えるようにする」と強調しています。

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オミクロン株の市中感染が広がって、濃厚接触者も今後、爆発的に増えることが予想されます。少しでも症状が出始めた段階で、素早く自宅などで服用できる薬の承認によって、医療機関への負担も軽減されることが期待されています。

(2021年12月24日午後4時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)