季節性インフルエンザと新型コロナウイルスは同時期に同じ場所で同じような規模の流行はみられなかったことが明らかになりました。

東京大学医科学研究所の河岡義裕特任教授らの研究グループはヨーロッパ、アメリカ、アフリカ、南東アジアなどの22か国について、2019年から2022年11月中旬までの新型コロナとインフルエンザの陽性数の分析を行いました。

その結果、22か国すべてで新型コロナの感染拡大以降、インフルエンザの陽性数が著しく減少したことがわかりました。

また、一部の国を除いては新型コロナとインフルエンザの流行のピークの時期が全く異なることも明らかになりました。

そのほか、フランス、イタリアイギリスでは一時期インフルエンザの感染が増えていたものの、新型コロナとは異なる地域で流行していたこともわかりました。

これらを踏まえ、研究グループは、新型コロナとインフルエンザは同じ地域で同時に同じような規模では流行していないことが明らかになったと発表しました。

河岡特任教授はこの理由について「新型コロナの流行を抑制するためにとられた対策（ロックダウンやマスクの着用など）が、インフルエンザの流行も抑制した」とした上で、「十分には解明されていないが新型コロナに感染している人ではインフルエンザウイルスが増殖しにくい可能性がある」と説明しています。