鳥取県が3億円で“洗剤の箱”購入 “税金の無駄遣い”か“地域活性化の起爆剤”か?
鳥取県がおよそ3億円でポップアートの巨匠、アンディ・ウォーホルの作品を購入したことが波紋を広げています。地域活性化の起爆剤となるのか、それとも税金の無駄遣いか。各地のケースをみてみると、明暗が分かれていました。
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ガラスケースの中に厳重に保管されたポップなデザインの5つの箱。
鳥取県教育委員会・美術振興監 尾崎信一郎さん
「(5個)まとめると3億円ぐらいになります」
お値段はおよそ3億円。アメリカのポップアートの巨匠、アンディ・ウォーホルの作品です。
およそ250億円で落札されたマリリン・モンローの肖像画などを手がけたウォーホル。鳥取県が購入したのは、実在した“洗剤の包装箱”をコピーした木箱、「ブリロの箱」です。
9月までに5点合わせて、およそ3億円で購入しました。3年後にオープン予定の県立美術館の目玉の一つにしようというのです。
ウォーホル作品はもうひとつ、「キャンベル・スープ缶」も今年8月に4554万円で購入済みです。「ブリロの箱」とともに展示するということです。
これに県民からは…
鳥取県民・賛成派
「いいんじゃないですか?なんか有名な方ですし」
鳥取県民・賛成派
「身近に(見に行く)機会があるのは、すごくいいなって思いますね」
その一方で…
鳥取県民・反対派
「3億円ってのは考えられない」
鳥取県民・反対派
「ただでさえ税金が増えていってるし、ちょっとこういう使い方は遠慮していただきたい」
批判の声を受け、県は急きょ、住民説明会を開く事態になり、平井知事は「購入前に県民の理解を得ることが必要だった」と話しました。
さらに聞こえてきたのは…
鳥取県民
「(ブリロの箱)5点というところも、1点とどう違うのかなって」
なぜ5個も購入したのでしょうか。
鳥取県教育委員会・美術振興監 尾崎信一郎さん
「大量消費・大量生産という60年代のアメリカを象徴する作品だった。我々もその意図を反映させるために、買えるだけ買ったと」
県は29日にも住民説明会を開き、理解を得たいとしています。
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自治体のお金の使い方で物議を醸したのが、石川県能登町です。観光施設に巨大モニュメント「イカキング」をつくりました。
28日に訪れると、全国旅行支援も追い風になっているのか、多くの観光客の姿がありました。
東京からの観光客
「(イカキングなかったら)素通りでしょうね。ここでお土産買って食事もしているから、多少なりとも貢献はしている」
およそ2700万円の制作費の大半を国の新型コロナ対策交付金でまかなったため、一時は「無駄遣い」だと批判されましたが、町は制作費のおよそ20倍、6億円の経済効果があったと発表。
付近のガソリンスタンドも…
ガソリンスタンド店員
「(イカキングがなかったら)うちは廃業してたね、たぶん。二の矢、三の矢を打って行かないと」
町と施設で協力して、経済効果が一過性のものにならないようにしたいと話します。
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長崎県長与町の公園にある巨大な滑り台は、1994年に国からの交付金1億円を含めた、およそ2億8000万円かけて公園整備の一環としてつくられました。しかし、子供がけがをするなど事故が多かったため、7年前に使用禁止になりました。
かつて利用していたという町の人は…
長与町民
「負の遺産にね、なってますね」
“負の遺産”という厳しい指摘。
「また直すのも、すごいお金かかるのも、うーん、難しいですよね、どうなんだろう」
20万人以上が利用したという滑り台。町は、知名度アップに貢献したとする一方、少しでも費用がおさえられる撤去方法を検討中だとしています。