観光復活の起爆剤となるか?「旅行支援」スタート 期待と困惑が…
政府の観光需要の喚起策「全国旅行支援」が11日から始まりました。また、外国人観光客の個人旅行も解禁され、観光地からは期待の声が上がっています。一方、宿泊施設では困惑の声も聞かれました。
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“自粛”を余儀なくされてきた観光地に、少しずつにぎわいが戻ってきています。
神奈川・箱根町の大涌谷では11日、笑顔で記念撮影をする人や名物「黒たまご」をほおばる女の子の姿も見られました。11日に訪れていた人の中には旅行できる喜びに加え…
群馬と横浜から来た観光客
「やったーって。こういう援助なりがあると、旅も来やすいですよね。いままでコロナで旅行こられなかったから、これがいい起爆剤になって、皆さんが旅行しやすい段取りになればいいかなって」
愛知と東京から来た観光客
「うれしいですね。ありがたいなって。お土産とか買えるかなって」
利用していたのは、11日から始まった「全国旅行支援」でした。旅行費用が1泊あたり最大8000円引きされるほか、土産物店などで使えるクーポンももらえます。(クーポン 平日3000円 休日1000円 12月下旬まで ※東京都は20日から)
この“お得さ”が注目され、予約が始まった11日朝からアクセスしづらい状況になる旅行サイトもありました。
旅行需要の高まりに箱根の土産物店からは「期待してたから、逆に。こっちもうれしくなってくる」との声が聞かれました。
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さらに観光地の人々が期待しているのが、11日から解禁された外国人観光客の個人旅行です。
スコットランドから来た観光客
「ずっと日本に来たいと思っていて、ついに来ることができました。 2年前から計画していましたが、コロナで予定が全て変わってしまい、つらかったです」
オーストラリアから来た観光客
「規制が緩和されてよかったです。3年間来られませんでしたから」
これまで外国人観光客はツアーでしか入国できず、1日あたりの入国者数も5万人の上限が設けられていましたが、11日からはこうした制限が撤廃されたのです。「ワクチンの3回接種」か「陰性証明書」の提示は必要ですが、入国の制限はほぼコロナ禍前の状態に戻ることになります。
東京・浅草にも早速、11日に到着したばかりという観光客がいました。
フランスから初来日
「きょう来ました、制限が緩和されてすぐに。ここが東京で初めて来た場所なので感動しています」
イギリスから初来日
「わくわくしています」
「3年間待ち続けていました。夢のようです。ラーメン店に行って、日本の生活を体験したいです」
感染拡大前には利用客のほとんどが外国人だった東京・港区にあるホテルは、制限緩和の流れを受け予約が増えてきているということです。
ストリングスホテル東京インターコンチネンタル レベッカ・ソーン総支配人
「きょうから一部入国制限が緩和されました。素晴らしい!」
感染拡大で一時は外国人の利用者がゼロになった時期もあり、再び外国人観光客などを迎えられることを喜んでいました。
フロントスタッフ
「前みたいに活気のあるホテルに戻ってくれたらいいなと思っています」
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水際対策の緩和や全国旅行支援は、秋の行楽シーズンを前に観光産業復活の追い風として期待されています。
群馬・渋川市の伊香保温泉にある温泉まんじゅうの店は早速、店の前に旅行支援のクーポンについてのポスターを準備していました。
勝月堂 女将
「ちょっとお客さまも多くなるかな…と期待はしています」
一方、宿泊施設では困惑の声も聞かれました。
和心の宿大森 大森隆博会長
「ご予約・変更、それから取り消し、という形で1日100件くらい入っていますね。手続きの問題だけで大変な思いをしている、というのが現実」
伊香保温泉の37室のこの旅館には、問い合わせが殺到しているといいます。旅行支援が始まる前に予約した客から「割引対象にならないのか」という問い合わせや「割引がきく日程に振り替えてほしい」という要望などが相次ぎ、人手が足りない状況になっているといいます。
11日に始まった支援策は、コロナ禍で打撃を受けた観光の起爆剤となるのでしょうか。