3000人超が孤立――故郷へ物資届ける男性「見たことない景色が」「1分1秒でも早く」 液状化、損壊…10日目の被災地は
国土交通省のTEC-FORCEが4日、上空からドローンで撮影した映像。道路が途中から濁流にのまれ、その先では土砂崩れが起きていました。完全に通行できなくなっています。
石川県内には、道路が通れなくなったことにより、孤立状態になってしまっている地域も多くあります。
陸上自衛隊の中部方面隊はYouTubeで、7日に石川・珠洲市の孤立地域へ物資を届けに行く映像を公開しました。リュックに多くの荷物を詰め、車両では進めない場所からは、息を切らしながらリュックを背負って徒歩で運んでいきます。
「こっちもやばいな」
足首より上まで沈むようなぬかるみの中を歩き、急斜面をよじ登るなど、悪路の中を懸命に進みます。孤立地域に到着すると、ガスボンベや燃料などを届けました。
石川県によると、22地区で3124人が孤立しています(10日午後2時時点)。
その1つ、石川・輪島市の七浦(しつら)地区では、351人が孤立状態となっています。現地の映像を、金沢市に住む升本庄吾さん(33)が撮影しました。
升本さんは七浦地区出身で、今も両親が住んでいるため、これまでに5回、水や燃料などの物資を運びに行ったといいます。
升本さん
「見たことない景色が広がっとったんで。路面もどこ行けばたどり着くかも分からなかったんで、行ったり来たり。(現地では)お風呂入れないんで、水のいらないシャンプーとか体拭くシートとか(要望が多い)」
「(生まれ育った町を見て)ショックはでかかったですけど、みんな生きとったんで、そっちの方が気持ちが強かったですね。孤立してる地域が多いので、1分1秒でも早く道がつながればいいかなと思います」
地震発生から10日目の10日。道路が波打ち、あらゆる物が傾いていた内灘町にNNN取材団が入りました。
鈴江奈々アナウンサー
「住宅の基礎の部分がでこぼこになってしまっています。小道では、(アスファルトが割れて盛り上がって)『とまれ』の文字が上に上がってしまっています」
そこかしこに広がっていた、異常な光景。町の広い範囲が液状化に見舞われていました。
10年前に家を建てたという家族に話を聞きました。この家の子どもは「(傾斜で)ここにいると気持ち悪くなっちゃう」。家全体が傾き、玄関の引き戸や、キャスター付きの収納ボックスが自然と動いてしまう状態でした。
10日、NNN取材団の中島芽生アナウンサーが七尾市を歩きました。建物への被害は、ここでもありました。
中島アナウンサー
「多くの建物に、応急危険度判定の紙が貼られています。こちらの建物も赤い『危険』となっています」
倒壊などの危険性が高いと判断されたことを示す赤い紙が、至る所に。国の有形文化財に登録されている老舗の醤油蔵にも、「危険」の赤い紙がありました。
中島アナウンサー
「壁が完全に崩れ落ちてしまっていて、ブロック塀が散乱している状況です」
(1月10日『news zero』より)