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“大きく傾いた家”6人家族は… 避難所では高齢者への感染症対策も課題

2024年1月10日 21:20
“大きく傾いた家”6人家族は… 避難所では高齢者への感染症対策も課題
能登半島地震の発生から10日目です。亡くなった人は206人となり、10日も52人の安否がわかっていません。長期化する避難生活で女性や高齢者にいま必要とされている支援とは…。

被害は輪島市や珠洲市だけでなく、金沢市に隣接する、内灘町でも確認されています。

鈴江奈々キャスター
「この道全体が斜めになってしまっていて、こちらの方が下がっています。電柱が車道に大きく傾いて木で支えられている状態です」

町の広い範囲が“液状化”に見舞われました。至るところで地盤が隆起。電柱は深く埋もれ、砂のようなものが大量に噴出した場所も。傾斜がついた道を車が行き交っていました。

取材中に出会った家族に話を聞きました。

内灘町で被災した母親(10日午前)
「地区にある初詣にいってる時に(被災)」

内灘町で被災した娘
「ゴロゴロガラガラって怖かった」

初詣中、神社にいた時に震度5弱の地震が襲いました。夫婦と一男三女の6人家族。10年前に建てたというマイホームもいまでは…


「(傾斜で)ここにいると気持ち悪くなっちゃう」

部屋へと続く廊下は“上り坂”。断水状態が続いています。現在は父親だけがここで暮らし、残る家族は母親の実家へ避難。目下の課題は家族全員が住める場所を探すことですが…

母親
「内灘町でアパートを探したんですけど、6人で入れるところがなかなかなくて。罹災(りさい)証明書が出るまでにどれくらいかかるかもわからなかったり、道筋が全然できてない」

生活を再建するための道筋が見えないことに、不安を募らせていました。長引く避難生活で足りなくなった衣類を補充。

母親
「本当はここが一番いいと思うんですけど。自分たちの拠点となる場所を探して見つけて再スタートを切れればなと」

   ◇

再スタートに向けた動きは避難所でも。七尾市の小学校では、自衛隊による給水のほか、入浴支援が行われていました。話を聞いた女性は、女性ならではの悩みを抱えていました。

――ここで着替えることは?

避難中の女性(50代)
「できないです。女性だけ更衣室じゃないけどあれば違うと思いますね」

プライバシーなどの問題。着替えはわざわざ自宅に戻ってしているといいます。また、母親と子ども用のスペースはあるものの、生理用品は大人用のオムツなどを一緒に廊下に置かれた状態です。

避難中の女性(50代)
「普通にできていたことが早く戻ればいいなと思う」

課題は高齢者にも。石川・輪島市にある「地域生活支援ウミュードゥソラ」は元々、高齢者や障害者のための福祉施設ですが、現在は避難所としても利用されています。ここで懸念されているのが感染症の拡大です。

「昨日、健康センター行ってまいりましたけど、嘔吐(おうと)が激しいんですね。ごろ寝状態で次々と嘔吐していくんですね」

輪島市のほかの避難所ではすでに感染症が広がり、発熱や嘔吐の症状が相次いでいるといいますが…

「手洗いで次亜塩素酸ありますか」
「そんなには持ってきていない」

消毒液や体温計など、感染症対策に必要なものが不足しているといいます。

全国訪問ボランティアナースの会「キャンナス」 菅原健介さん
「介護職や医療職がいないところがたくさんあるなかで、感染が拡大してるっていうのは、とめられないくらい広がっているというのは、輪島の避難所の実態だと思う。金沢とかほかの地域にいったん避難していくことを進めていければ」

長引く避難生活。幅広い支援が求められています。

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