“泳ぐ宝石”錦鯉 最大の輸出先・中国への輸出が停止に
“泳ぐ宝石”とも言われる錦鯉を求め、世界各国のバイヤーが福岡でのオークションに参加しました。その錦鯉の最大の輸出先だったのが中国ですが、今、輸出ができなくなっています。
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海外の人にとってはまさに“泳ぐ宝石”。10日に福岡で行われた錦鯉のオークションには、多くの外国人のバイヤーが参加し、じっくりと品定めしていました。
「はい、じゃあ10万から!」
10万円から始まった金の錦鯉は、あっという間に…
「90万!100万!」「130万円が55番!」
鯉が、高値で飛ぶように売れていきます。
ベルギーから来た“鯉”バイヤー
「6匹くらい買った。合わせて200万円くらいだ」
中には…
マレーシアからきた“鯉”バイヤー
「1匹も買えませんでした。多くが予算を超えていたので…」
海外での人気が年々高まっている日本の錦鯉。その輸出金額は、この10年で2倍以上伸びていて、去年はおよそ63億円になりました。
尾形養鯉場 尾形学社長
「錦鯉の魅力っていうのは、絶対けんかをしない。きれいな鯉がゆったりと泳いでる姿を見るだけで心が癒やされる。海外のお客さんにとっても、そういうのがいいところじゃないですかね」
中でも、最も多く輸出されていたのは中国です。しかし、中国への輸出ができなくなっているといいます。
尾形養鯉場 尾形学社長
「うちは去年の3月で(輸出が)終わった」
政府も…
宮下農水相(10日)
「(中国への)輸出が停止していると認識しております」
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日本の錦鯉を巡って、何が起きているのか。中国・北京にある錦鯉の販売業者の元へ向かいました。
記者(中国・北京、10日)
「錦鯉というのぼり旗、あちこちに並んでいますね」
中へ入ると、色鮮やかな錦鯉がいけすで飼育されていました。中国産の錦鯉と日本産の錦鯉を取り扱っているといいます。
錦鯉の販売業者
「日本の錦鯉は体形・色・質・模様がいい。(中国産と比べて)1匹あたり10倍以上、値段の差がある」
富裕層だけでなく、庶民にも人気だという日本の錦鯉。しかし、すでに仕入れはストップ状態でした。
記者
「今年9月以降、日本からの輸入はストップしているということです」
ただ、日本の錦鯉は育ててから販売するため、しばらくの間は影響しないと話していました。
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そもそも、日本から中国に錦鯉を輸出するためには、中国側の許可を得たライセンスが必要ですが、錦鯉を扱う複数の業者によると、そのライセンスの申請や更新を、中国側が2年ほど前から許可しなくなったといいます。
そして10月末、錦鯉を扱っている日本の業者すべてが、中国へ輸出できない状態になりました。
これについて、中国の報道官は9日、停止については明言しませんでした。
中国の報道官(9日)
「中国側は、日本の錦鯉の輸入一時停止に関する発表をしていない」
現場は、混乱が続いています。
尾形養鯉場 尾形学社長
「こういう事は政府と政府の話し合いでしか、我々、一企業ではどうしようもないと思う」
――中国の方も日本から買えなくなるのは困る?
尾形養鯉場 尾形学社長
「もちろん困ります。『なんとかならないのか』とか『日本政府は何をしているんだ』とか、そういう声は聞きます。政治的な解決方法をみなさんで考えていただきたい」