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【日テレ初】そらジローが宇宙での撮影に挑戦 打ち上げまでの様々な試練…その舞台裏を公開

2024年8月23日 17:49
【日テレ初】そらジローが宇宙での撮影に挑戦 打ち上げまでの様々な試練…その舞台裏を公開

この夏、日テレは初めて宇宙での撮影に挑戦します。ISS(=国際宇宙ステーション)「きぼう」へそらジローのぬいぐるみを打ち上げ、誰も見たことのない映像を撮るチャレンジ。しかし、宇宙に行くためにはさまざまな厳しい条件が…

◾️そらジロー宇宙へ!

2024年5月27日、日本テレビで宇宙ビジネスなどを担当する加藤友規部次長は、茨城県・つくば市にあるJAXAの宇宙ステーション試験棟へ向かいました。ほこりやチリなどの侵入を防ぎ、清潔さが保たれた「クリーンルーム」へ入ると、そこには4体のそらジローのぬいぐるみが丁重に保管されていました。

このそらジローたちこそ、宇宙に飛び立つときを待つ、プロジェクトの“主役”です。
加藤部次長は、1年以上前から日本テレビで初となる“宇宙での撮影”を目指し、プロジェクトを進めてきました。

日本テレビ宇宙ビジネス事務局 加藤友規
「JAXAが募集をしていた『きぼう有償利用制度』の公募を活用して、そらジローをISSに送り込むプロジェクトです。ISSの中には『きぼう 日本実験棟』というものがあり、その船内を利用してコマーシャルの撮影を行う予定になっています」

地上約400キロメートル上空に建設された巨大な有人施設、ISS(=国際宇宙ステーション)。JAXAはその中にある「きぼう」日本実験棟で様々な実験などを行っています。

加藤氏
「日本テレビが主体となってISSに何か“もの”を送り込んで撮影をするというのは初めての試みです。そらジローは日本テレビのお天気のキャラクターとして活動しているんですが、宇宙のことを伝える時は、宇宙服を着て『宙ジロー』として活躍しています。ぬいぐるみの形に合わせて宇宙服をオーダーメイドで作りました」

◾️宇宙へ行くための様々な検査 宙ジローの結果は?

ぬいぐるみであっても、宇宙へ飛び立つのは容易なことではありません。

加藤氏
「宇宙に送るものは必ず、どんな材質か、とがった部分がないかなど、色々な検査を受けないといけないんです」

まず行ったのが、ぬいぐるみの燃えやすさの確認でした。ぬいぐるみ本体や、服、服に付いている細かな装飾に至るまで、どんな素材でできているかのリストを作成し、JAXAがその内容を確認します。
宙ジローのぬいぐるみは、燃える素材を含んでいます。そのためISSに送り込むためには「宇宙飛行士が目を離さず運用すること」「目視で燃えているかどうかの確認ができない状態では不燃性のバッグに収納すること」などのルールを定める必要がありました。

次に行った検査は、「シャープエッジ検査」。とがったところなど、宇宙飛行士のけがにつながる形状がないか、目で見たうえで、手でも細部まで触り、確認します。

こうした検査を受けた宙ジローたちは、全ての条件をクリアし、ISSへ飛び立てることが決まりました。

◾️撮影内容をシミュレーション!どのような映像になるのか?

加藤氏が次に向かったのは、JAXAにあるISSきぼうの実寸大モデル。ここで、ISSで使うものと同じ型の機材を使い、撮影のシミュレーションを行います。

ISSで宇宙飛行士が撮影を行えるのは、準備なども含めて3時間と定められています。スムーズに撮影するためには、地上でシミュレーションを行い、作業ごとの所要時間を定めた「ミッション指示書」を作る必要があるのです。

加藤氏
「絵コンテと言いますか、『こういうシーンを撮りたい』というのをまずは紙上で確認をしながら準備をしていきました。 宙ジローたちに撮ってきてほしい映像は最大3つあります」

「1つは、4体の宙ジローが輪つなぎになって『きぼう』の中をくるくる回転しながら散策している様子です。2つ目は、手をつないで移動しながら散策しているシーンです。最後は、『きぼう』の窓から外を見て宇宙空間を見ているような映像です。できればその先に地球が映っている映像が撮れるといいなと思っているんですけれども、それは撮影のタイミング次第で、うまくいくかどうか分かりません」

「手順があまりうまくいかないとワンシーンしか撮影できないかもしれませんし、手順がうまくいけば全部のシーンが撮影できるかもしれません。どういうシーンがちゃんと撮影できるのかというのは、当日のオペレーション次第となっています 」

シミュレーションで課題となったのは、1つめの“4体の宙ジローが輪つなぎになってくるくる回転しながら散策する”シーンでした。4体で回転する宙ジローを正面から撮ると、一番奥にいる宙ジローが隠れてしまいます。

しかし、ISSでカメラを操作するのは撮影を本業とするわけではない宇宙飛行士。カメラの角度を細かく指定しても、その通り操作することができるかわかりません。

そのため、宙ジロー4体を床と水平ではなく、少しカメラ側に傾けて回転させるよう、指示を変更しました。こうすることで、全ての宙ジローがカメラに映り、輪になっている様子が撮影しやすくなります。

また、無重力の船内でぬいぐるみの角度をコントロールするのは難しいので、このシーンの撮影に十分な時間を使えるよう、他のシーンを減らすなどの調整を行いました。

日本テレビの希望する映像が撮れるよう、試行錯誤するJAXAの職員たち。JAXAが民間企業のISS利用を進める背景には、地球低軌道の開発への危機感がありました。

JAXAきぼう利用センター 河添孝則 主任研究開発員
「2030年以降、ISSが退役した後、民間主体での地球低軌道利用という目標があるので、民間の皆さまに1回でも2回でもISSを使ってみていただきたいです。民間企業の皆さんが宇宙をビジネスとしてちゃんとやっていけるように、今いろいろな施策で商業利用を促進していかなければいけない」

こうして地上での準備を終えた宙ジローたちは、8月5日、ロケットに乗ってISSへと飛び立ちました。撮影は2024年秋ごろを目標に行われる予定です。