首相の演説で“爆破物”…リュックの中に“粉末が入った小瓶” 選挙制度に不満 会合でデジタル副相と20分立ち話か
岸田首相の演説会場で爆発物を投げたとして逮捕された男。押収したリュックの中に液体が入った水筒や粉末が入った小瓶、ライターなどが入っていたことが新たにわかりました。さらに、去年9月には兵庫・川西市議会議員の市政報告会に参加していたとみられることも明らかに。20分ほど立ち話をした自民党の大串デジタル副相は、「記憶に残っていた」と話しました。
◇
爆発現場近くの壁に穴ができていました。
記者
「爆発があった場所から約50メートル離れたコンテナにも、何かがめりこんだ痕があるのがわかります」
木村隆二容疑者(24)は15日、和歌山市で爆発物を投げ込み、演説直前の岸田首相を狙ったとみられています。自宅からは、火薬とみられる粉末や金属製の筒が押収されていますが、警察によると、押収したリュックの中に液体が入った水筒や粉末が入った小瓶、30センチ四方の金属の板、スプーン、ライターが入っていたことが新たにわかりました。
爆発物は衝撃で聴衆を飛び越え、約40メートル離れた場所で本体の一部とみられる筒状のものが発見されました。18日、さらに10メートルほど先にあるコンテナにもキズがあるのが見つかりました。爆発物の破片がぶつかった可能性があるということです。
警察は、ダイバーを近くの海に入れるなど捜索範囲を広げ、爆発物の威力を正確に把握する狙いで破片の回収作業にあたっています。
◇
事件の背景に何が…。取材を進めると、その一端が垣間見えるような新たな事実が判明しました。実は木村容疑者、国会議員の選挙制度に不満をもち、国を相手に裁判を起こしていたのです。
裁判資料によると、木村容疑者は去年7月の参議院選挙に立候補しようとしていたといいます。ただ、被選挙権の資格年齢に達しておらず、立候補できなかったことで精神的苦痛を受けたとして、国に対し10万円の損害賠償を求めていました。
裁判資料には、岸田首相が決断した安倍元首相の国葬に対する木村容疑者のこんな主張が記載されていました。
木村容疑者の主張(去年10月の裁判資料より)
「岸田内閣は、故安倍晋三の国葬を世論の反対多数の中で、議会での審理を経ずに閣議決定のみで強行した。このような民主主義への挑戦は、許されるべきものではない」
「故安倍晋三の様な既存政治家が政治家であり続けられたのは、旧統一教会の様なカルト団体、組織票をもつ団体と癒着していたからである」
その後、訴えは退けられ、大阪高裁に控訴しています。
◇
去年9月には、木村容疑者とみられる男が兵庫・川西市議会議員の市政報告会に参加していました。
木村容疑者とみられる男(去年9月・市政報告会)(自民党関係者による)
「川西市議の報酬は良いですか?」
政治に強い関心を示していたという一方、被選挙権について「憲法違反だ」と、ここでも選挙制度への不満を漏らしていたといいます。
木村容疑者とみられる男(去年9月・市政報告会)(大串議員事務所による)
「市議選に出馬したいが、選挙に出ることができない」
「被選挙権が25歳なのは憲法違反だから法改正すべきだ」
自民党の大串デジタル副相は、その会合で20分ほど立ち話をしたといいます。
自民党 大串デジタル副相
「(去年9月の市政報告会で)被選挙権の年齢の問題をかなり熱心に話された。特に若い男性でああいう会に来るのは珍しい。事件現場の映像を見て、おそらく彼だろうと記憶に残っていた」
別の参加者も――
市政報告会の参加者
「異常に若い子なのにしつこく聞くなって、正直な(感想)。政治的にはいろいろと興味もあるし、安倍さんの事件がきっかけかどうか知らないけど、なんかあったのかなと思って」
なぜ、事件は起きたのか。木村容疑者は依然、黙秘を続け、雑談にも応じていないということです。
(4月18日放送『news zero』より)